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中日からのトレードで人生が激変「誰が想像できた?」日本ハム・郡司裕也がものにした「一瞬のチャンス」北の大地で愛される“郡司節”秘話
text by
中田愛沙美(道新スポーツ)Asami Nakata
photograph byKYODO
posted2024/08/01 11:01
今やファイターズの顔として活躍する郡司。唯一無二のキャラクターだ
明るいキャラクターと抜群の話術はドラゴンズ時代から有名だった。「名古屋の時はバットよりカメラの方が主だったので」と自虐するほど。カメラを前にすると、キャッチーなフレーズがスラスラと出てくる。
「適当にしゃべっているだけなので。でも、せっかくなら面白いこと言いたいじゃないですか」。周囲の人を楽しませたい。そんな思いもある。
トーク力の原点
トーク力の原点は幼少期にあるのだと明かす。大勢を前にして話すのが得意で自称「スナイパートークタイプ。一発に込めるタイプ」。学校生活では「生徒会長はやりたくなかったのでやっていないですけど、もちろん学級委員長、体育祭応援団長…」とクラスの人気者が務めるポジションを歴任してきたのだという。
現在もトーク力向上のため、努力を惜しまない。「ユーチューブとかでも討論系を見ますね。討論番組とか。ひろゆきとか好きですし、僕はあんまり打ち負かすタイプではないですけど」と“論破王”の名を挙げる。
ファイターズ移籍後は、“郡司節”と称される数々の名言を残してきた。その中でも「あれはキラーワードですね。よう思いついたっす」と自画自賛するのが、1試合2本塁打を放った8月22日の楽天戦(エスコンフィールド)後のヒーローインタビューだ。
お立ち台でも名言連発
翌日、夏の甲子園決勝で母校・仙台育英と慶応が戦うことをインタビュアーから振られると、両手でマイクを持ち、こうコメントした。
「実質これは郡司対郡司みたいなところがあるので(笑)、どっちが勝っても郡司が優勝なので、みなさんもぜひ、どっちも応援してあげてください、お願いします」
慶大出身の郡司にとって、縁のある2校の対戦をユーモアたっぷりに表現。実は中学時代に慶応高校進学を目指し、入試で不合格となった過去を持つのだが、そんな苦い記憶もネタにしてしまうのはさすがだ。
“破壊王”もネタに
昨年11月のファンフェスティバルでは私服を披露するコーナーで、韓国の人気ドラマ「冬のソナタ」の主演ペ・ヨンジュンになりきり、“ヨン様”ならぬ“グン様”として話題になるなど人気が急上昇。今年5月には、右翼ブルペンに飛び込んだホームランの打球が、約30万円のカメラに直撃。そんなハプニングもしっかりネタにして「私が壊しました。ごめんなさい」と謝罪文をしたためた破損したカメラは、エスコンフィールド北海道のスタジアムツアーで展示されることになった。