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「親子ゲンカあまりない」「恋のほうが大人」“金メダルに恋した14歳”スケボー吉沢恋って何者? 父親が明かす“中3の素顔”「2年前スケボーやめるって…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAFLO
posted2024/07/30 11:03
スケートボード女子ストリートで優勝した吉沢恋(14歳)。“金メダルに恋した14歳”の実況も話題に
前回銀メダリストのライッサ・レアウを応援するブラジルの観客が大挙して訪れ、場内はさながらリオデジャネイロ五輪の様相だったが、一種異様な雰囲気の中でも赤間凛音や中山楓奈と「すごいね」と笑い合う余裕があった。
決勝ラン1本目で他の7選手全員がミスをして得点が伸びなかった中で唯一フルメイク。得点面でも心理的にも大きなアドバンテージを掴んだ。
迎えたベストトリック、吉沢は競技の最中にこう考えていたという。
「自分が1位になれるならビッグスピンフリップの技だな。1位を獲るなら自分の一番難易度の高い技でメダルを獲りたい」
ビッグスピンからさらに難易度を高めたビッグスピンフリップからのボードスライド。吉沢の代名詞とも言える存在だ。3本目でのトライは失敗したが、4位で迎えた4本目に成功。着地までビッタビタの完成度の高さでこの日の最高得点となる96.49。首位に立った吉沢にはもう誰も追いつけなかった。
夏休みで学校が休みなため、パリには髪を茶色に染めてやってきた。「ひと味違った自分を見せたい」と本人は話していたようだが、実際にはいつもと変わらぬ安定感で攻め切った。
なぜ日本の若者はスケボーが強い?
日本代表の早川大輔コーチも吉沢の強さ、銀メダルとなった15歳の赤間を含めた日本勢の安定感についてこう語った。
「練習の仕方や質がすごくコンテストに特化したやり方ができている。海外のスケートボードってやっぱりまだまだ楽しむっていう要素が強い。日本もそれがないわけじゃないけど、コンテストで勝つために何が必要か、何をするべきかを他の選手よりは意識しているのかなと」
東京大会と同じメダル2つという好結果。日本の得意種目と言っていい。
「今回の選手たちも、もちろん普段の大会より意識はしているけど、一生に一度の大舞台っていうよりは今までの積み重ねでいつも通りやろうという気持ちが見えましたね」
前回五輪代表となった西村碧莉のようなスケーターが先鞭をつけ、西矢たちが東京オリンピックで輝き、そこに続く新しい選手たちが出てきた日本のガールズスケーターの系譜――。
そして、この日の吉沢の滑りにこう思った人がどこかにいるかもしれない。
「あ!この技、私もできる!」と。