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「親子ゲンカあまりない」「恋のほうが大人」“金メダルに恋した14歳”スケボー吉沢恋って何者? 父親が明かす“中3の素顔”「2年前スケボーやめるって…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAFLO
posted2024/07/30 11:03
スケートボード女子ストリートで優勝した吉沢恋(14歳)。“金メダルに恋した14歳”の実況も話題に
「やめるのはいつでもやめられる。1回やめたら、またそこから始めて続けるのは大変だよ。自分のためになるから続けてごらん」
その言葉が中1の娘の胸にどれだけ響いたかはわからないが、スケートボードを心底嫌いになったわけではなかったのだろう。父が正規職員の保育士から非正規の介護職に仕事を変え、自分のサポートに力を尽くしてくれていることは感じていたはずだ。結局、部活動は続けなかった。
娘の滑りをパリの客席で見守った功さんは父娘の関係についてこう言った。
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「親子でケンカとかはあまりないです。どちらかと言うといつも自分が怒っていて、恋のほうがなんとなく大人。“まあまあまあ”っていなされる感じですね」
「LINEでアドバイスしたりしない」
指導に熱が入るのはいつものことだが、スケートボードの経験があるわけではない功さんはパリ本番では最後に一線を引いた。
「オリンピックでもLINEでアドバイスを入れたりはしないって決めていたんです。今まで海外の大会でもひとりでやってきたんだから、それを貫き通さないと意味がない。だから今回も自分でちゃんと勝ち取ったんだなと感じますね」
昨年6月のローマでの大会では頭を強く打って、硬膜外血腫で1週間の入院生活を余儀なくされるアクシデントもあった。しかし、成績はそれを乗り越えた時期から一気に伸びていった。
昨年末の世界選手権で5位となり、今年5月の五輪最終予選第1戦で3位、6月の同最終戦でついに優勝して代表切符を勝ち取った。
夏休みだけの茶髪
その勢いはパリでも衰えなかった。この日は特に海外勢に動きの硬さが目立つ中、吉沢は「予選はほとんど緊張しなかった」と平然と滑り切り1位で決勝進出を決めた。ビッグスピン・ボードスライドもベストトリックではなく、ランで一連の流れの中に組み込んだ。それは吉沢のレベルの高さだけでなく、西矢椛らが引っ張ってきたこの3年間の女子スケーターのレベルアップも表した滑りだった。
「1位通過した自分を基準にみんながレベルをあげてくる。そういうところで不安や緊張はいっぱいあったんですけど、自分が決めたいなって思った技を決めに行くだけと考えられた。そこが一番よかったところかな」