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「元は翔平みたいな二刀流だった」DeNAジャクソン投手が横浜でチャンスをつかめたわけは…「バウアーにも話を聞いた」研究熱心さとロン毛の理由
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/29 11:01
ワイルドな長髪をなびかせる姿もすっかりお馴染みになってきたDeNAジャクソン投手
「海を渡る決断をしたのは、日本の野球やカルチャーに興味があったことと、一番は先発としてチャンスを与えてもらえることでした」
ジャクソンはMLBで26試合に登板しているが、先発としてマウンドに立ったのはパイレーツ時代の7試合だけだ。
先発で投げるチャンスのドアが開いた
「これまでの野球人生で、先発で投げるチャンスのドアは“半開き”の状態でした。それが日本という高いレベルの野球環境で、大きく開いていたのは非常に魅力的だったんです。自分のキャリアを考えても、環境を変えるのに一番いいタイミングだったと思っています」
静かに、そして真っすぐな目でジャクソンは言った。自分のキャリアにとって先発でチャンスをもらえるDeNAでの経験はきっと大きなものになると確信している。
飯澤通訳いわく、考古学や歴史、経済や哲学にも精通した博学の理論派。「無駄な知識をいっぱい溜め込んでるよ」とジャクソンは苦笑するが、そのバイタリティーは、この異国でプレーするには重要なファクターになることは間違いない。
「わたしも妻も横浜の街を気に入っているし、本当にファンの熱量も高い。チームメイトも若くていい選手が揃っているし、きっとチャンピオンシップを獲得できると思っている。そのために、わたしはベストなピッチングをしていきたい。まだ自分のベストシーズンというのを経験していないので、ぜひそれを実現したいと思っているよ」
プロに入って、髪を伸ばしてやろうって
最後にひとつ、その人目をひくド派手なヘアスタイルだが、なにかこだわりはあるのだろうか。
「伸ばせば伸ばすほど、整える必要がなくなるんだよ(笑)。まあそれはジョークだけど、わたしの両親は軍関係者で、少年時代は短いミリタリースタイルの髪型だったんだ。だから髪の毛を伸ばしてみたいなって。けど、カレッジに行ったら髪はいいけど、ヒゲはダメだと言われて、プロになったとき、これはもうとことん伸ばしてやろうと。まあ、こんなに伸ばせるとは思わなかったんだけど、時間もかけたから、もう切れないなと思っているよ」
そう言うとジャクソンは人懐っこい笑顔を見せた。長い四肢を活用したダイナミックな投球と、ワイルドさと知性を持ち合わせたジャクソンの活躍は、間違いなく26年ぶりの優勝を目指すDeNAのキーポイントになることだろう。