“ボクシングの素晴らしさ”を伝えるために

　社会人になってから飛躍を遂げ、栄光も挫折も味わった岡澤の2度目のオリンピックが間もなく始まる。福田は日本から祈るような思いで試合を見守るつもりだ。

「オリンピックのトップ選手ってギリギリの勝負じゃないですか。3分×3ラウンドの勝負は本当に集中力がいる。岡澤選手クラスになればなおさらです。だから撮影しているときなら集中できますけど、私のような人間にとって、普通に観戦するってけっこうしんどいんですよ。ドキドキしますし、精神的にすり減るんです。だから今回のオリンピックもヘトヘトになりながら応援すると思います（笑）」

岡澤セオンがパリに発つ直前の2024年7月。福田直樹は撮影を通じてエールを送った　©Number Web

　岡澤はパリ五輪で金メダル獲得を目標に掲げている。活躍して「もっと注目されたい」という思いはもちろんある。同時に、金メダリストになることによって発信力を高め、この競技の素晴らしさをもっと広く、多くの人に伝えたいという思いも強い。

「オリンピックのボクシングってすごいし、面白いし、カッコいい。伝わりにくいと言われるけど、そんなに伝わりにくいかなとも思うんです。試合は3分×3ラウンドでポンポン進んでいきますし、選手たちの技術もスピードも超ハイレベル。だからもっともっと、多くの人に見てほしいんですよね。そのためにも、パリで金メダルを獲ってきます！」

　それぞれの立場でボクシングの魅力を伝えようと努力し続けてきた岡澤と福田。パリで最高の結果を出せば、2人のコラボレーションはさらに力強さを増すことだろう。

＜前編から続く＞