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「パリで金、獲ってきます」岡澤セオンの優勝宣言「ボクシングにもっと光を」…恩人の世界的カメラマンも震えた“覚醒”「こんな選手が出てくるとは」
posted2024/07/27 11:02
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Naoki Fukuda
世界的カメラマンが語る“岡澤セオンの覚醒”
当時、ラスベガスで活躍していた世界的ボクシングカメラマン、福田直樹に弟子入りを志願した高校生、岡澤セオンはボクサーとして着実に成長していった。中央大を卒業して社会人になると、活躍の舞台を日本から世界へと広げていく。社会人1年目で初めて全日本選手権を制し、翌年のアジア選手権では銀メダルを獲得した。
岡澤の目覚ましい成長ぶりは、世界のトップボクサーを撮り続けてきた福田にとってもうれしい驚きだった。
「大学ではポイントゲッターではありましたけど、まだそこまでの選手ではありませんでした。それがアジア選手権に出て、そのあと世界選手権でベスト8に入ったあたりから完全に“覚醒”した印象があります。自信がみなぎるようになった。もうレベルに差のある選手が相手だと、威圧感だけで圧倒してしまう。動きはキューバのトップ選手のボクシングのようで、縦横無尽に動いてポイントを稼ぐ。本当に強くなったと思いました」
岡澤は大学卒業後、鹿児島に拠点を移して競技を続けていた。鹿児島県が2020年(当初予定)の鹿児島国体に向けて岡澤に強化指導員兼選手という立場を用意したのだ。福田とは全国大会や強化合宿で東京に出てきたときに顔を合わせた。ボクシングマニアでもある岡澤にとって、福田に写真を撮ってもらえる喜びは競技を続ける上でのモチベーションにもなった。ロープを挟んでリングの中と外で、2人は心を通わせていた。
「高校生のとき、憧れの福田さんに『ボクシングをがんばって』とメールの返信をもらったこと。そして選手として写真を撮ってもらえることが、本当にエネルギーになりました。間違いなく、いまの自分を作ってくれた恩人のひとりです」