- #1
- #2
ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「パリで金、獲ってきます」岡澤セオンの優勝宣言「ボクシングにもっと光を」…恩人の世界的カメラマンも震えた“覚醒”「こんな選手が出てくるとは」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNaoki Fukuda
posted2024/07/27 11:02
パリ五輪での金メダル獲得を目標に掲げるボクシング71kg級の岡澤セオン。「もっともっと、多くの人に見てほしい」とボクシング愛を語った
「こんな選手が出てくるとは…」歴史的偉業を達成
そして岡澤は2020東京オリンピックの出場を決める。コロナ禍により1年延期となり、2021年に開催された大会では、金メダルを獲得したロニエル・イグレシアス(キューバ)に2回戦で敗れたが、同年10月から11月にかけて開催された世界選手権67kg級で金メダルを獲得する。ボクシング世界選手権での金メダル獲得は日本人初の快挙であり、幼少のころからボクシングに親しみ続けてきた福田は震えるような感動を味わった。
「私は30年以上ボクシングを取材してきましたが、こんな選手が出てくるとは思ってもみませんでした。同じ大会の54kg級で金メダルを獲った坪井智也選手もそうです。とんでもない偉業ですよ。岡澤選手が高校生のとき、アメリカに住んでいる私に送ってくれたメールには『大学でがんばって全日本チャンピオンになります』と書いてあって、『オリンピック、世界選手権に絶対出ます』と続いていました。実際には出るどころか、金メダルまで獲りました。そのメールを見返したときにジーンときましたね」
世界選手権に優勝した岡澤は、五輪競技たるボクシングの“顔”になった。2022年の全日本選手権のポスターは岡澤と坪井のツーショット。写真を撮影したのは福田だった。
「その前の年から依頼を受けて、最初の年は東京オリンピックのメダリスト、金メダルの入江聖奈選手が真ん中で、左右に並木月海選手と田中亮明選手の銅メダリストが並ぶポスターを撮りました。それも気に入っていましたけど、翌年の岡澤選手と坪井選手も、とてもいいポスターになりました。岡澤選手も『ようやくこんなふうに撮ってもらった』と喜んでくれて、僕も『やっとちゃんとした形で彼を撮れた』という充実感がありました」