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「もう一度プールに戻りたい」池江璃花子が辛い治療を乗り越えるために頼った気持ち「未来が一夜にして別世界のように…とてもきつい経験でした」
text by
池江璃花子Rikako Ikee
photograph byAsami Enomoto
posted2024/07/27 11:04
白血病の公表から5年ーー再びプールに戻るまでの過程を綴った著書『もう一度、泳ぐ。』を刊行した池江璃花子
次の日ネットを見ていたら、私のことに批判的な意見がありました。気になるし、落ち込むけど、立場上、たくさんの人の目に触れるようになり、その分様々な意見があって、その中には批判的なものもあること、それは仕方のないことだと思っています。昨日のようなメッセージを発信できる立場でもあるということをポジティブに考えたい。
7月末、私は練習が休みだったので家にいると、練習に行っていた子から、「日大水泳部に新型コロナウイルスの感染者が出たから練習が中止になった」と連絡がありました。同じ水泳部内だったので、焦りましたが、実際これだけ感染者がいるなかで、身近な人が罹患するのは時間の問題だと思っていました。コロナになったら悪者扱いされることが多いけど、それは違うと思います。自分がどんなに気をつけていてもなってしまう時はなってしまう。私のような持病がある人や高齢者もなってしまうかもしれない。周りの人との付き合い方も一層気をつけないといけない。私は主治医の指示に従って、血液検査とレントゲンを2回とってもらって、問題ないと言われました。
1年7カ月ぶりの実戦へ
その後、日大水泳部の感染者が10人を超えて、8月27日に出場予定だった中央大学との定期戦が中止になりました。10月のインカレに出るためには事前の大会で標準記録を突破しないとなりません。急遽、8月29日の東京都特別水泳大会に50m自由形でエントリーすることにしました。26秒8、それを上回るのが目標です。
去年12月に退院した時には、まさか8月に大会に出られるとは思ってもいませんでした。移植をした場合、最低でも1年は水に入れないだろうと言われていたところ、私は免疫力の回復が順調で、プールに入れる状態になりました。完全には戻っていないので、100mはレースではまだ泳げません。でも50m自由形なら、インカレのタイムも切れるんじゃないかという泳力がついたのは自分でも驚いています。私が持っている日本記録は、24秒21。過去の自分と比べると気持ちがダウンすることもあるけど、そこはなんとか持ち堪えてやっています。レベルは低くても、目標を持つことが大事。
1年7カ月ぶりの実戦。若干不安もあるけど楽しみたいです。
<前回から続く>