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「身長172センチ」「100年に1人の逸材」比嘉もえ16歳の“度胸たっぷり”な才能…アーティスティックスイミング代表、父は「あの野球選手」
posted2024/07/28 11:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
100年に1人の逸材との呼び声もある新星が、パリで五輪デビューを果たす。アーティスティックスイミングのデュエットとチームに出場する比嘉もえ(井村クラブ)は、大阪・四天王寺高校2年生の16歳。広島カープでプレーした元プロ野球選手の寿光さんを父に持つ“2世選手”でもある。
2007年9月15日、広島県生まれ。小学3年でアーティスティックスイミング(当時はシンクロナイズドスイミング)を始め、競技開始からわずか2年後の小5の時に全国ジュニアオリンピックのソロで初優勝を飾った。その後も常識破りのスピードで成長。22年には史上最年少の14歳で世界選手権に出場した。
身長172センチ。長い手足と課題が見つかればとことんまで取り組む意識の高さ、そして、誰と組んでも「シンクロ」できる同調性を武器とする16歳が、この夏に挑むのはパリ五輪。目指すのは金色に輝くメダルだ。
16歳、日本史上最年少の金メダリストに
6月2日、カナダで行なわれたW杯。デュエットのフリールーティン(FR)で比嘉は佐藤友花(ジョイフルアスレティックク)と組んで演技をし、優勝した。
比嘉が佐藤と組むのはこの大会が初めて。前日(6月1日)のテクニカルルーティンでは3位だったが、そこから1日で細かい技術を修正し、フリールーティンではライバルたちを抑えて表彰台の一番高いところに上がった。
驚くのは佐藤との練習を本格的に始めたのが5月だったことだ。
比嘉は昨年7月の福岡世界選手権のデュエットには安永真白(井村ク)と組んでテクニカルルーティンで日本勢22年ぶりの金メダルに輝いている。この時、比嘉は日本選手として史上最年少の金メダリストともなっている。
今年2月のドーハ世界選手権は、安永が大会直前に体調をくずしたため、出場枠を確保していなかったチームを優先してデュエットは棄権したが、5月にパリ五輪のテスト大会として行なわれたW杯には比嘉&安永のペアで試合に出た。
しかし、5月3日のテクニカルルーティンで2位、翌日のフリールーティンで4位と振るわなかった。点数が伸びなかったのはミスが原因だが、それ以上に危機感が募ったのは強豪国がパリ五輪を見据えて演技構成の難度を軒並み上げていたこと。日本も早急の対応が必要となった。