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平河悠が涙“悪質足踏み”もブーイングも怒るどころか「大岩さんが“ラフにくるよ”と」「逆に楽しめる」…パリ五輪世代の余裕に記者が驚き
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2024/07/25 18:35
パラグアイ戦後、表情をほころばせる藤尾翔太と小久保玲央ブライアン。5-0の大勝劇の要因には、選手たちのたくましいメンタルがあった
「日本では(あそこまでのファウルは)ないですけど、国際試合ではよくあると思う。自分もあんなに来ると思わなくて避けられなかったのでちょっと悔やまれます」
ベンチから試合を見つめた平河は「2点目が入った時に勝ちを確信しました。足が犠牲になりましたけど、勝ちに繋がったのでよかったかなと思います」と悔しさを押し殺しながら話した。
平河が“犠牲”になったように、パラグアイのラフプレーが目立った試合だった。だが、対応する選手たちは怒りで平常心を失うどころか、余裕すら感じさせた。
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例えばサイドやゴール前でファウルを受ける回数も多かった斉藤光毅は「相手がアフターで削って来ても、自分たちがリアクションしなければ相手はイライラすると思うし、逆手にとるようなプレー、メンタル的な駆け引きもしていきたい」とファウルをかわした上での心理戦について言及して、余裕を感じさせた。
山本も「肘が入りそうなところや僕らが報復行為になりそうなところは気をつけた。僕らが退場して10対10になるのは恐れていたので気をつけました」とファウルする相手を上回る対応をしたと振り返った。
「大岩さんは“相手がラフにやってくるよ”と」
別の余裕を見せたのはGK小久保玲央ブライアンだった。
「大岩さんは『相手がラフにやってくるよ』と言っていたので、その中で自分たちが落ち着いて戦えた。カードもコウタ(高井幸大)とセキ(関根大輝)くらいで終わったので自分たちにとってプラスだと思う」とパラグアイのラフプレーについては織り込み済みだったようで、落ち着いた様子だった。
試合中には場内からブーイングも受けた。
日本がリードした後、相手がボールを奪いにこないことがわかると足元でボールをキープし、苛立つ相手と呼応するかのように場内からはブーイングが響いた。だが、小久保はどこ吹く風だった。
「ブーイング? フランス戦でもあったけど、自分にとってそんなに、逆に楽しめるというか。特に何も思っていないんで」
一旦ブーイングが鳴り出すと、小久保がボールを持つと時間をかけなくてもブーイングは鳴るようになる。煽られても慌てるプレーをすることはなく、ゆったりと主導権を持ち続けた。
エンシソが何か言ってきたけど…
ラフプレーの多かったパラグアイだが、直接の“口撃”もあったと小久保は明かす。