サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
平河悠が涙“悪質足踏み”もブーイングも怒るどころか「大岩さんが“ラフにくるよ”と」「逆に楽しめる」…パリ五輪世代の余裕に記者が驚き
posted2024/07/25 18:35
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
この試合が特殊だったと認識した上で…
まさかの、と言っては失礼になるだろうか。
南米予選1位のパラグアイを5-0で下して、幸先の良いスタートとなった。ブラジルもアルゼンチンも勝てなかった、パラグアイ相手の大勝だった。
チームの3点目を決めた山本理仁は笑顔を見せて、こう語った。
「世界大会が初めての選手もいるんで、僕自身もそうだし。5-0という結果プラス今日の内容は自信になります」
今回のパリ五輪の最年長となる2001年生まれ組は、2017年開催のU-17W杯出場を逃した選手がほとんどで、2021年のU-20W杯は軸として戦えたはずが、新型コロナ流行の影響で中止。世界と縁遠かった世代がようやく日の目をみる大会がこのパリ五輪だ。
世界への思いの分だけ調子に乗っても良さそうな5得点だが、大岩剛監督は勝ってなおチームを引き締めた。
「退場者が出るのが早い時間帯だったので、この試合が特殊だったと認識した上で、しっかりと次に向けて準備をしたいなと思います」
と、硬い表情を崩さない。25分に相手が退場者を出した、あくまでイレギュラーな状況の中での勝利だと強調した。
相手に退場者が出たとはいえ、日本も大きな代償を支払った。退場につながったシーンは平河悠が右足首の内側をビエラに思い切り踏まれた。近年ではあまり目にしない、あからさまに意図的なファウルだった。
一発レッド後「報復になりそうなところは気をつけた」
平河はいったんプレーしたものの9分後の34分に担架に乗せられてピッチを退いた。手で顔を覆い、悔し涙を流しているようだった。
試合後「歩くのもちょっと痛い」という平河だったが、嘆いたのはファウル以上に、自身の経験値だった。