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あのDAISOホームラン直前「大谷翔平がベンチから消えた“12分間”」現地取材で記者が驚いた“大谷の時間術”「スマホは20秒しか見ない」「わずか19分間で帰宅」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byGetty Images
posted2024/07/25 17:03
現地7月21日、144m特大ホームランを放った大谷翔平。じつはその直前に“12分間”、ベンチから姿を消していた
「(スマホで動画を見せると)あー、あったね。三塁側の観客席で騒ぎが聞こえた時、ちょうど隣にショウヘイがいたんだよ。『“ファイティング”が起きてるよ』って伝えたら、彼も心配していたね」(テオスカー・ヘルナンデス)
球場の視線は、「彼らを連れ出せ!」というチャントが響く三塁側観客席に集まっていた。ニューヨーク・ポストによれば、観客席で女性同士が口論になり、その彼氏が加勢して……ビールをかけあう騒ぎが起きたという。
その時以外の大谷は、自分の世界に集中していた。
たとえば7月20日の試合。10回裏、同点打を放ったキケ・ヘルナンデスが二塁でアウトになりリプレー検証に移る。審判が協議する間、同僚はセンター後方に設置されているスクリーンでプレーを見ながら結果を今か今かと待っている。だが大谷はベンチ裏から戻ってくるかと思えば、球場の様子を一瞥しただけで映像を確認する素振りは示さない。
あるいは7月22日の1回裏。四球後の盗塁がリクエスト判定になったときも、塁上でただじっと、待っている。そして判定がアウトに覆ると、何事もなかったかのようにベンチへ引き上げていった。
特大弾を放った日の試合後、大谷はこう語っていた。
「もっともっと打てるように。まだチャンスはいっぱい、これから先あると思うので、またもっといい打球を打てるように頑張りたいなと」
終わったことを噛み締めて感傷に浸る時間は、まだ必要ない。