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あのDAISOホームラン直前「大谷翔平がベンチから消えた“12分間”」現地取材で記者が驚いた“大谷の時間術”「スマホは20秒しか見ない」「わずか19分間で帰宅」
posted2024/07/25 17:03
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph by
Getty Images
黒のスウェットに着替えた大谷翔平に、ウィル・アイアトン通訳が近づく。そして大谷がリュックを背負った瞬間、声をかけた。
「おつかれさまッした!」
試合終了から“わずか19分間”で帰った
7月22日(以下すべて現地時間)の対ジャイアンツ戦は21時36分に終わった。その後、21時47分にシャワーを浴び終え、21時55分にはクラブハウスを後にした。化粧水を顔につけ、乾ききっていない髪を帽子に収めれば身支度終了の合図である。試合終了からクラブハウスを後にするまで、わずか19分。今季はDHとはいえ、来季以降の投手復帰リハビリも並行している。恐ろしいほど分刻みのスケジュールで動いていることがわかる。
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試合後のクラブハウス。スマホをいじったり談笑したり、はたまたBGMに合わせて熱唱したりと、ゆっくりと帰り支度をする選手は多い。「うちの祖母は96歳まで生きたんだ」「そりゃすごいね。僕の祖母は……」。米記者と世間話をする選手までいる。だが、大谷は早い。スマホの確認も20秒ほどで済ませて、颯爽と去っていく。捕手のウィル・スミスは言う。
「試合日は、1日が長いからね。帰る時間でいえば、先発ピッチャーたちはおのずと早くなるよ。出番を終えた投手はもちろんだけど、その日に先発した投手以外は、自分が試合に出ないことがわかっているから。グラスノーも早いよね」
先発陣の一角であるタイラー・グラスノーと、同等のスピードで大谷はクラブハウスを後にする。
あの特大ホームラン直前「ベンチから消えた“12分間”」
クラブハウスの大谷は、球場最深部の「DAISO」看板の近くまでホームランを打った日も、無安打かつ盗塁失敗に終わった日も、見分けがつかないほど同じ雰囲気である。どこまでも淡々としている。シーズン162試合のうち1つが終わった、と。
なぜか。エンゼルス時代と今年で決定的に異なるのは、キャリア初となるポストシーズン進出の可能性である。あるいは投手として復帰する来季までを見越してのペース配分のように思えてならない。だから試合中も、ホームラン直後こそ笑顔は見られるが、凡退したときと同じくすぐにベンチ裏へ消える。
大谷のベンチでの振る舞いを観察していると、同僚との違いに気づく。その一つが「ベンチから姿を消す回数」の多さだ。