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「退場後も(西尾)隆矢は謝りながら…」“おとぼけ+響く声の主将”藤田譲瑠チマ22歳が語るパリ世代の団結「一緒に戦ってきた仲間のために」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byMutsu Kawamori
posted2024/07/24 17:22
パリ五輪世代のキャプテンを務める藤田譲瑠チマ。頼れるピッチ内でのプレーと、ピッチ外でのギャップもまた魅力だ
冒頭のスタジアム見学でも、ピッチ内でひときわ響いたのは藤田の声だった。集合写真の撮影でも楽しそうに和気藹々としているときもあれば、進行を仕切る場面もあり、「あまりキャプテンの仕事はない」とはいえ随所にリーダーシップを取る藤田の様子は見られた。
男子サッカーはパリ五輪全競技の先陣を切って試合が行われる。他競技を含めた日本選手団に勢いを与えたいのでは、と聞かれると「いやそこまで考える余裕はないですけど、しっかり戦えるぞっていうところは見せたいなと思います」。
リップサービスとはいかなかったが、素直な回答は新鮮だった。
五輪でどんどん知名度も広がっていったらいいなって
今回のパリ五輪に臨む2001年1月1日以降生まれは新型コロナウイルス流行の影響が直撃した世代だ。2020年10月に予定されていたU-19AFC選手権は一旦は延期されたがのちに中止となった。そのU-19選手権の結果次第で出場権を得られた2021年のU-20W杯も中止に。得られたはずの経験を得られなかったこともあるのだろうか、世界大会への憧れや思い入れはこれまで取材してきたU-23世代に比べても強いように感じる。
藤田は言う。
「やっぱりU-20のときも、ワールドカップをやりたかった気持ちはありました。自分たちの先輩が出ていたのを知ってたから(東京Vの藤本寛也は2019年のU-20W杯で活躍しポルトガルへ移籍)、国際大会で自分も注目されて海外へ行きたいなっていう思いが強かったんで。そんな状況を踏まえて迎えるオリンピックなので、注目度が高いことを含めて、気合は少し入ってます」
だが、藤田が言う世界大会への想いは、ステップアップのためかといえばそれだけでもなく、もう少しピュアな気持ちのようだ。
「自分たちや、自分自身のプレーを世界の人に見てもらいたいし、そこでどんどん知名度も広がっていったらいいなって思っています。めっちゃ憧れの舞台のひとつです」
とはいえ、子供の頃テレビでとくに五輪のサッカーを見たわけではないそうだ。
「オリンピックではサッカーよりも他の競技を見ていました。でも、ロンドン大会の初戦スペイン戦で大津祐樹選手が決めたゴールは覚えています。見ていたというより、テレビのニュースか何かで流れてたっていう程度なんですけど。ニュースでも扱われるようなことなんだ、と思った記憶があります」
“初戦”と思いすぎず、つねに目の前の試合に…
なかなか地上波テレビでサッカーが放送されることのない昨今だが、ニュースで見ただけでも注目度の高さを感じたそうだ。注目される大会こそ次世代のために、との思いもモチベーションになる。