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「退場後も(西尾)隆矢は謝りながら…」“おとぼけ+響く声の主将”藤田譲瑠チマ22歳が語るパリ世代の団結「一緒に戦ってきた仲間のために」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byMutsu Kawamori
posted2024/07/24 17:22
パリ五輪世代のキャプテンを務める藤田譲瑠チマ。頼れるピッチ内でのプレーと、ピッチ外でのギャップもまた魅力だ
「自分たちはオリンピックでメダルを取ることだったり、1位になることを目標に立ち上げられたグループだと思うんです。なのでアジアで優勝できずにオリンピックに出るっていうのは、みんなも考えてなかったと思いますし、自分も考えてなかった。アジアチャンピオンとしてオリンピックに行くことに意味があると、大会前から意識してたんです」
五輪アジア最終予選、退場した西尾も…
パリ五輪のアジア枠は3.5だった。つまり、予選では3位になればパリ五輪出場権を獲得でき、4位でも大陸間プレーオフで勝利すれば出場権を得られるレギュレーションだ。だが、藤田の目線はそもそも出場権獲得にはなかった。
「出場権は過程というか。優勝に重きを置いていました」
当初から望んだ優勝という結果を無事に勝ち取ることができた。想いを形にできたからこそ得たものもあるU-23アジアカップだったというのが藤田の認識だ。
「実際に優勝できたのは自分たちにとってもすごく良かったと思います。最後の方にはチームのまとまり感などを自分はすごく感じられていたんで。優勝しなかったらその感覚も得られてはいなかったので、大事な機会だったかなと思います」
目標はあくまで五輪での優勝であり、その通過点としてのU-23アジアカップ優勝、さらにその手前にあるのが五輪切符獲得――だという考えからすると、そのアジアカップ初戦中国戦のわずか17分でDFの西尾隆矢が退場したことも、いちいち落ち込んだり、揺さぶられたりするようなことでもなかった。
「正直自分としてもああいう事態は初めてだったので、うまく対応できてたかわかんないですけど、その試合もチームとしてうまく勝ち切ることできた。隆矢はその後も輪から外れず、うまくチームに入れていたし、逆に良かったんじゃないかなと思います」
西尾は退場し3試合の出場停止処分を受けた。合計ほぼ4試合で選手ひとりを欠くというピンチではあったが、チームとしてまとまるチャンスでもあり、藤田がキャプテンとしての力量を試される機会でもあった。
「あのときはチームが悪い方向を向いてたわけではないので、特にキャプテンとしての仕事はなかったです。隆矢自身もみんなに謝りながらロッカールームを回って、その後に他の仕事も率先してやってくれてたんで。キャプテンとして特別にやることはなかったですけど、チームが勝つためであればなんでもしたいなとは思っています。予選の時は選手ミーティングをしましたし、もともと自分、人と話すのが好きなのでリラックスルームでみんなと話しています」
試合以外でも、藤田の声はひときわ響く
藤田は「自分でも予想していた」とおり、本大会の主将に指名されている。