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「バレー界のゴクミ」と呼ばれ…17歳で五輪候補に選ばれた元日本代表・斎藤真由美が感じた「知らない人が自分を知っている」という怖さ 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byL)AFLO、R)Miki Fukano

posted2024/07/25 17:01

「バレー界のゴクミ」と呼ばれ…17歳で五輪候補に選ばれた元日本代表・斎藤真由美が感じた「知らない人が自分を知っている」という怖さ<Number Web> photograph by L)AFLO、R)Miki Fukano

現役時代はバレーボール日本代表にも選出され、現在は群馬グリーンウイングスで監督を務める斎藤真由美さん(53歳)

飲酒・居眠り運転のトラックが激突…負った大ケガ

 しかし、そんな斎藤さんを大きなアクシデントが襲う。

 1993年、8月のことだ。兄が運転する車で外出中に、飲酒と居眠り運転のトラックに突っ込まれる交通事故に遭ったのである。

 斎藤さんは助手席に、母親は後部座席に座っていたが、正面からトラックが衝突した衝撃で、斎藤さんは車体と座席に両足を挟まれ、フロントガラスに頭から突っ込み大けがを負った。

「顔面にたくさんのガラス破片が刺さって出血がひどかったようです。額の裂傷が特にひどく、緊急手術で13針縫いました。手術室に運ばれながら、よくドラマなどで見るような応急処置で、消毒用のアルコールを顔にバシャバシャとかけられるのですが、麻酔なんてしていないし意識がはっきりあるのでとても痛かったことを覚えていますね。

 母親とは別の病院に運ばれたので、母の生死もわからない状態でした。わたしについてきてくれた兄が顔面蒼白で、おそらく大きな責任を感じていて、普通ではない精神状態に見えたので、手術室に運ばれながら看護師さんに『兄の様子を見ていてください』と頼んだほどです」

悩まされ続けた“フラッシュバック”

 特に顔の損傷がひどく、最初に額の皮膚を削り取って細かく縫った。今でも髪の毛で隠れた生え際に、痛々しい傷痕が残っている。足のけがは骨折には至らなかったが、その後も足を痛めやすくなるという後遺症に悩まされた。

 ただし斎藤さんが何よりも悩まされたのが、事故のフラッシュバックだった。しばらくは夢に事故の場面が現れて、大汗をかいて目が覚めるという日々を送ることになる。

 夜中にうなされて目覚めると、握りしめた手が汗でびっしょりと濡れていた。選手への復帰の道は閉ざされてしまったかのように感じた――。《インタビュー最終回に続く》

(撮影=深野未季)

#3に続く
交通事故被害から“4年半ぶり”の復帰、現在は監督業…バレー・斎藤真由美(53歳)を奮い立たせた「大ケガを負った母からの言葉」

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