この先、那須川がどこまでいけるのか、最終的な伸びしろがどこにあるかはまだ見極め切れていません。少なくとも世界王者にたどり着ける素材であることは間違いないのでしょう。

　ただ、井上尚弥（大橋）や中谷のようにパウンド・フォー・パウンドレベルのエリートボクサーになっていけるのかどうか？　最新試合でのKOは返す返すも見事でしたが、それでも那須川は井上尚弥や中谷のような破壊的なワンパンチパンチャーではないだけに、それによって伸びしろが多少制限される可能性はあります。

　今、言えるのは、那須川は世界王者レベルの才能という“アイテスト”をすでにクリアしたということ。フェイントを使いながら角度を変えたパンチを打てるだけの格闘センスを持っているということ。そして、ファンを喜ばせる戦い方ができるアグレッシブなコンビネーションパンチャーであるということ。それらを組み合わせ、これから先にどれだけのキャリアを積み上げていくのかに注目してみたいところです。

©︎Naoki Fukuda

　分かり易いところでは、井上拓真、武居、西田に挑んだ時、世界タイトルを持つ彼らですらも圧倒するようなパフォーマンスで魅せられるか。それができればエリートクラスとして認められるのでしょう。だとすれば、やはり那須川の真価が問われるのは世界挑戦の時になるのかもしれません。

　ジャッジメントの時期はもうしばらく先になりますが、この希有な才能の成長を私も楽しみに見守っていきたいと思っています。

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