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「私はナスカワの評価をためらっていた」なぜ那須川天心はKOできたのか? 英国人記者が語る、過去3戦とは違う“ある兆候”「少なくとも世界王者に」
posted2024/07/22 17:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)が衝撃的なKO防衛を果たした両国国技館のリングで、アンダーカードに登場した那須川天心(帝拳)も同じように強烈な輝きを放った。
7月20日、ボクシング転向4戦目に臨んだ那須川は、世界ランカーのジョナサン・ロドリゲス(アメリカ)を圧倒した上で3回TKO勝ち。最後は鮮やかなコンビネーションから痛烈なダウンを奪ってフィニッシュし、「KOするパワーはない」といった外野の声を吹き飛ばすに至った。
戦績を4戦4勝(2KO)に伸ばした25歳は具体的にどこがよくなったのか。待望の世界挑戦まであとどのくらいの位置にいて、完成形はどんなボクサーになるのか。
試合後、リングマガジンの元編集人であり、現在はスポーティングニュースで健筆を振るう英国人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、その言葉には常に説得力がある。
※以下、グレイ氏の一人語り【全2回の2回目/「中谷潤人」編も公開中】
「大きな進歩」「これまでのベスト」
今回の那須川はプロボクサーとして大きな進歩を見せたと思います。那須川の過去の試合を見た後には、あまりに経験不足であるがゆえ、私はまだ彼をトップレベルのボクサーの枠に含めるのに躊躇いがちでした。ただ、キャリア4戦目の内容は文句なし。那須川のこれまでのキャリアでベストのものだったと思います。
対戦相手のロドリゲスはエリートレベルの選手でこそありませんが、元WBA世界スーパーフライ級王者のカリッド・ヤファイ(英国)に勝っています。前戦では惜しくも敗れたものの、世界ランカーのアントニオ・バルガス(アメリカ)からダウンも奪いました。そんな実力者を相手に、那須川は技量の確かさを証明したのです。