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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「私はナスカワの評価をためらっていた」なぜ那須川天心はKOできたのか? 英国人記者が語る、過去3戦とは違う“ある兆候”「少なくとも世界王者に」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/07/22 17:03
3回TKO勝ちを収めた那須川天心(25歳)。「パワーがない」という外野の声を吹き飛ばした
ロドリゲス戦でのジャブは良かったですし、ワンツーの切れ味も素晴らしいものでした。中でも左ストレートはこれまで以上に打ち抜きが効いていて、強烈でした。
過去3戦の那須川は随所に鋭いパンチを放ってはいましたが、単発の傾向が目につきました。それもあってかKOできないことが指摘されてきましたが、ロドリゲス戦では一味違ったのです。左アッパーを交えた連打でロドリゲスを沈めたフィニッシュのコンビネーションに感心させられたことを否定しません。特に得意の左パンチが“危険”と呼べる威力を宿すようになったのはいい兆候だと言えるのでしょう。
「近い将来、タイトルホルダーといい試合をする」
那須川はすでにWBCの15位以内、WBA、WBOでは10位以内にランクされている世界ランカー。そして、最新の試合ではいわゆる“アイテスト(分かり易い形で目に見える強さ)”もクリアしました。おかげで今では那須川もまたワールドクラスのボクサーだと私も認められるようになったのです。
これだけの力があるのなら、並外れたパワーを持つ中谷以外なら、近い将来にバンタム級のどのタイトルホルダーと対戦してもいい試合をするのでは、と考えるようにもなりました。IBF王者・西田凌佑(六島)、WBO王者・武居由樹(大橋)はまだプロでは9戦ずつしかこなしておらず、経験という面で那須川との間にそれほど大きな差があるわけではありません。
もちろん西田はエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、武居はジェイソン・マロニー(オーストラリア)という実力者を下したわけだから、リスペクトしなければいけません。それでも那須川の才能を見る限り、中谷への挑戦は無謀だとしても、あと1、2戦後に西田や武居、WBA王者・井上拓真(大橋)の持つタイトルに挑んでも面白いのではないかと私は予測しています。