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「ボクはオオタニになれなかった」日本人が知らない“大谷翔平、本当の評価”… MLB若手スター4人がアイドル大谷翔平を語る「あの人はヤバいよ…」
posted2024/07/19 11:02
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph by
Getty Images
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「オオタニのライバルか……。ちょっと違うかもしれない。なんていうか、そういう存在には誰もなりえないんだよ。本当にそう思う」
近い将来、打者として大谷翔平を抜きうる――MLB公式記者マイケル・クレア氏がそう絶賛する一人のオールスター出場選手の発言だ。
その選手とは、今年2月にロイヤルズと球団史上最高額11年430億円という巨額契約を結んだ【1】ボビー・ウィット・ジュニアである。メジャーデビューした2022年に20本塁打・30盗塁、昨シーズンも30本塁打・49盗塁を記録した若きスーパースターだ。
クレア氏によればウィットは「メジャーNo.1打者の座を大谷から奪う可能性が最も高い選手」だという。その評を本人に伝えたところ返ってきたのが冒頭の回答だった。「大谷とライバル関係になるなんて想像できない」。謙遜ではなく本心だろう。なぜなら彼は、大谷を見て育った世代だからである。
「ボクは18歳で二刀流を諦めた」
今年のオールスターゲームでベンチ入りした選手の平均年齢は28.4歳だ。24歳のウィットを筆頭に選出された25歳以下の若き才能たちは中学、高校で「オオタニの二刀流」という事件を目撃している。実際にウィット自身、「高校時代にはピッチャーもやっていた」と言う。しかし彼らは――オールスターに選ばれるだけのポテンシャルを持ちながら――二刀流を諦めている。
ホームランダービーで決勝まで進んだウィットの場合は、シンプルな理由からだった。
「最終的に決断したのは18歳のときだね。その段階で気づいていた。体力的にも技術的にも、二刀流は不可能だろうなって。あとは打つほうが圧倒的に好きだったというのが大きいね。ダービーもただただ楽しかったよ」
「ヤバいよ、あの人は…」
今年のオールスターで最年少選手だった【2】パドレスの21歳、ジャクソン・メリルはどうか。やはり高校時代は投手もやっていたというメリルに、二刀流を諦めた理由を問う。すると彼はわずかに笑みを浮かべながら、頭を振った。