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[燃える闘魂]7 植田直通「失敗したって死にゃあしない」

posted2024/07/12 09:00

 
[燃える闘魂]7 植田直通「失敗したって死にゃあしない」<Number Web> photograph by Naoyoshi Sueishi

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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Naoyoshi Sueishi

史上最強のヘディンガーと称しても、過言ではない。名門・大津高校で育ち、ヨーロッパでの挑戦を経て、今、再び鹿島でのタイトル奪還に燃えている。これが、勝利を貪欲に求め続ける漢の生きる道。

 植田家、家訓――。

 スポーツでは、絶対に負けるべからず。誰よりも上手くなって、一番になるべし。

 厳格な父の教えを胸に、直通少年は逞しく、強靭に育った。わずか2歳で自転車の補助輪を外し、かけっこでは先頭をぶっちぎる。小学生の頃から始めたテコンドーでは、世界大会にも出場した。

 人生で最初に運命の決断を下したのは、15歳のときだ。熊本県宇土市立住吉中学校の一室で、担任の先生にこう告げた。

「大津高校を受験します。もしも前期で落ちたら、他の学校に行きます」

 机の向こうに座る教師は、困惑していた。

「大津は進学校だし、サッカー部も全国レベルだぞ。もっと試合に出られる学校でも、いいんじゃないか?」

 そんな説得を受けても、鋭く真っ直ぐな目が揺らぐことはなかった。

「僕は性格上、楽な環境に進んで、そこに慣れてしまうのが嫌なんです。大津は熊本で一番強い高校ですし、県内のエリートが集まります。当時の僕は、熊本県のトレセンには選ばれていましたけど、全くの無名選手。でも、一番強くて一番争いが激しいところで勝負するからこそ、成長につながると思って選びました。その考えを尊重して受験を許してくれた両親と担任の先生には、今でも感謝しています」

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