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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「ジェイミーはエディーに負けたくなかったと思う」田中史朗が語る“南アフリカ撃破”の記憶…フミさんが提案した革命前のジグソーパズル
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/07/05 17:01
3度出場したラグビーW杯を振り返った田中史朗(39歳)
「2019年のW杯が日本で行われるということもありましたし、それにジェイミーはほんまにエディーに負けたくなかったんだと思います。2015年以上のめちゃくちゃハードな練習をしましたし、みんなもそれについていって、準々決勝進出という結果を残すことができました」
2023年のW杯では、試合会場で田中に会った。「9番」ではなく、テレビの解説者としてフランスにいたからである。大会期間中、流大が負傷し、スクラムハーフが足りないのではないか、と報道陣の間で話題になった。「田中フミがいるじゃないか」と誰かが冗談で言ったのだが(登録されていないからもともと出場は叶わなかったが)、それはたしかにアリだなと思った記憶がある。
「堀江はお腹いっぱいと言ってましたが」
そして2024年が田中にとって、最後のシーズンとなった。
「三洋電機からパナソニックで一緒だった堀江(翔太)が最後の試合が終わって、『ラグビーはもうお腹いっぱいです』と言ってましたが、僕は最後の方は試合に出られませんでしたし、やりきったという感じはないんですけどね」
少しばかり後ろ髪を引かれているのかもしれない。それでも今後、様々な形でラグビーに携わっていくことだろう。
特に、若い世代でラグビーを志すならば、積極的にコミュニケーションを図り、ツールとして英語を学んで欲しいと話す。
「日本は年功序列というか、先輩、後輩の関係を重んじるので、どうしても年下の人間が意見を言うのを遠慮してしまう風潮がまだ強いと思います。でも、ラグビーの試合で遠慮してたらその間にやられてしまいます。ラグビーの練習もして、英語も身につければ、見える世界が断然違ってきます。やっぱり、意見を言い合える風通しのいい集団をつくることが大切です」