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“身長171cmの三冠王”が投高打低の中で誕生か…近藤健介30歳の成績が異次元すぎ「打率.355は2位と.039差、OPSも唯一の1.000台」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/07/01 19:40

“身長171cmの三冠王”が投高打低の中で誕生か…近藤健介30歳の成績が異次元すぎ「打率.355は2位と.039差、OPSも唯一の1.000台」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

投手が圧倒的に優位なプロ野球にあって、30歳の近藤健介は圧倒的な打撃力を見せている

248打数40得点(1)88安打(1)13本塁打(1)47打点(2)44四球(1)、打率.355(1)、出塁率.456(1)、OPS1.053(1)

 打率、本塁打1位に加え、打点もチームメイトの山川穂高と2点差の2位、最多安打、最多得点、最高出塁率。OPSも1位で、セパ通じて唯一の1.000台である。

 打率2位は.316の日本ハム田宮裕涼、3位はロッテ岡大海の.302で、3割打者はこの3人だけだ。.350を超える近藤がいかに傑出しているかがわかる。

 山川穂高が5月22日の楽天戦を最後に、30試合128打席も本塁打が出ていない。近藤は本塁打でついに山川を抜き、打点も2点差に迫っている。自身初の首位打者に加え、三冠王の可能性さえあるだろう。

 今季の近藤は、開幕から好調を維持していたが、そこからしり上がりに調子を上げている。

 3・4月 94打30安4本15点17四球 率.319 出塁率.429
 5月 79打27安2本9点12四球 率.342 出塁率.429
 6月 75打31安7本23点15四球 率.413 出塁率.516

 6月は月間MVPが当確というところだ。

 ソフトバンクは絶対的な主軸打者の柳田悠岐が、右足太もも裏の肉離れで登録抹消。長期離脱を余儀なくされた。また山川も一時の勢いがなくなっているが、それでも2位ロッテに11.5差をつけて首位を独走している。

 その背景には、栗原陵矢、周東佑京らの成長もあるが、なんといっても近藤健介の存在が大きいだろう。

 今季は5番で全試合出場している。「不動の5番打者」近藤は、どんなシーズン成績を上げるのか。ケガ、故障がなければ大記録を達成するのではないか?

週間記録:一軍復帰した阪神・佐藤輝と大山が復調気配

【2024年6月21日~6月30日 週間成績】
〈セ・リーグ〉
・今季成績
 広 島70試37勝29敗4分 率.561 差--
 DeNA71試36勝34敗1分 率.514 差3
 巨 人74試35勝34敗5分 率.507 差3.5
 阪 神73試34勝34敗5分 率.500 差4
 ヤクルト72試31勝37敗4分 率.456 差7
 中 日74試31勝37敗6分 率.456 差7

・12週目の成績
 DeNA7試4勝3敗0分 率.571
 広 島9試5勝4敗0分 率.556
 ヤクルト8試4勝4敗0分 率.500
 巨 人8試4勝4敗0分 率.500
 中 日9試4勝4敗1分 率.500
 阪 神7試2勝4敗1分 率.333

 6球団ともに大勝、大負けは無し。ペナントレース折り返し点の時点で、首位から6位までは7ゲームという混戦状態だ。

〈打撃成績5傑〉※打撃の総合指標、RC=Runs Create順
 丸佳浩(巨)33打14安1本1点 率.424 RC7.89
 佐藤輝明(神)22打10安4点 率.455 RC6.96
 牧秀悟(De)30打11安2本3点1盗 率.367 RC6.46
 ヘルナンデス(巨)31打11安1本4点 率.355 RC6.39
 大城卓三(巨)19打7安1本2点 率.368 RC5.86

 巨人の3人が好調。阪神では一軍復帰の佐藤輝明が打率.455とハイアベレージをマークした。本塁打はDeNAの牧と桑原将志、阪神の大山悠輔、広島の菊池涼介が2本。打点はヤクルトの長岡秀樹が6、盗塁はDeNA牧など9人が1で最多だった。

〈投手成績5傑〉※リーグ防御率に基づくPR=Pitching Run順
 大瀬良大地(広)2登1勝13.1回 責0率0.00 PR3.13
 グリフィン(巨)2登15回 責1率0.60 PR2.52
 ジャクソン(De)2登1勝13.2回 責1率0.66 PR2.21
 森下暢仁(広)1登1勝9回 責0率0.00 PR2.11
 西勇輝(神)2登13回 責1率0.69 PR2.05

 広島の大瀬良は6月22日の中日戦7回、29日の巨人戦6.1回を零封。同じく森下は25日のヤクルト戦で91球で完封。今季5例目のマダックスを達成した。救援では、中日のマルティネスが4セーブ、松山晋也が4ホールドで最多だった。

近藤.419を上回る打率.571…元同僚・岡の日本新記録とは

〈パ・リーグ〉
・今季成績
 ソフトバンク71試48勝20敗3分 率.706 差--
 ロッテ71試35勝30敗6分 率.538 差11.5
 日本ハム71試33勝33敗5分 率.500 差14
 楽 天71試33勝36敗2分 率.478 差15.5
 オリックス73試33勝38敗2分 率.465 差16.5
 西 武71試23勝47敗1分 率.329 差26

・12週目の成績
 ソフトバンク9試7勝1敗1分 率.875
 ロッテ8試4勝3敗1分 率.571
 西 武8試4勝3敗1分 率.571
 オリックス9試4勝5敗0分 率.444
 楽 天8試2勝5敗1分 率.286
 日本ハム8試1勝5敗2分 率.167

 ソフトバンクの勢いが止まらない。交流戦優勝の楽天が急ブレーキ。日本ハムも大負けで貯金がなくなった。最下位の西武は1つながら勝ち越した。

〈打撃成績5傑〉
 岡大海(ロ)28打16安6点1盗 率.571 RC13.03
 近藤健介(SB)31打13安3本9点 率.419 RC10.68
 森友哉(オ)31打12安2本6点1盗 率.387 RC9.00
 廣瀨隆太(SB)29打11安1本5点 率.379 RC7.06
 小郷裕哉(楽)28打8安1本5点1盗 率.286 RC6.68

 ロッテの岡が打率.571の猛打を奮い、8試合連続二塁打はNPBの新記録となった。岡と日本ハムで同僚だった近藤はロッテのポランコと並ぶ3本塁打、打点もソフトバンク栗原陵矢と並ぶ9。盗塁は楽天の村林一輝、小深田大翔が3で最多。

〈投手成績5傑〉
 今井達也(西)2登1勝1敗16回 責2率1.13 PR3.45
 藤井聖(楽)2登1勝12.2回 責1率0.71 PR3.32
 大津亮介(SB)2登2勝15回 責2率1.20 PR3.11
 モイネロ(SB)2登1勝12回 責1率0.75 PR3.09
 隅田知一郎(西)2登2勝15回 責3率1.80 PR2.11

 西武の今井は6月21日のオリックス戦で8回自責点2の好投も負け投手、28日の楽天戦は8回零封で勝利。西武は隅田も2試合で好投。救援ではオリックスのマチャドが4セーブ、西武の松本航、日本ハム杉浦稔大が3ホールドをマークした。

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