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初登板から「18試合連続無失点」の衝撃…オリックス“ドラ6ルーキー”古田島成龍(24歳)とは何者か? 大躍進のウラに「先輩妻」の支えあり 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2024/06/07 17:00

初登板から「18試合連続無失点」の衝撃…オリックス“ドラ6ルーキー”古田島成龍(24歳)とは何者か? 大躍進のウラに「先輩妻」の支えあり<Number Web> photograph by JIJI PRESS

初登板から連続無失点を継続するオリックスのドラフト6位ルーキー・古田島成龍。活躍のウラには家族の支えがあった

 様々なものを一気に背負うことになった古田島だが、結果は残酷だった。2回戦のセガサミー戦の6回、0対3の場面で登板するも打者5人に対して1アウトしか取れず1安打3四球で失点し降板。思わず東京ドームの天井を見上げた。「気持ちはどん底にまで落ちました」と振り返る。そんな時、聡美さんが声をかけた。

「上を向かずに前を向こう」

 プロ入りを意識するがあまり忘れかけていたことに気づかせてくれた。「もうドームの天井は見上げたくない」と悔しさを胸にしながらも前を向き、チームを勝利に導くこと、ストレートを磨くことに重点を置いて、練習やトレーニングに励んだ。

大切なのは「何を投げるかではなく、どこに投げるか」

 チームメイトの存在も大きかった。特に、日本通運の正捕手を長く務め、侍ジャパン社会人代表にも選ばれていた木南了に教えを乞うと、様々なものを授けてくれた。

「常に80点以上の投球をする。高さ・コースどちらかは必ずしっかり投げる。大切なのは、何を投げるかではなく、どこに投げるか」

 そんな信念は、木南と接する中で生まれたものだ。

 社会人2年目になると「高めのストレートで相手に突き刺す」イメージの球を投じられるようになった。空振りやファウルを奪いやすくなり、投球が楽になった。5月のJABA 東北大会では2試合17イニング無失点という好投で優勝に貢献するなどチームを勝利に導くことが増えていった。

 また、驚くことに余命わずかとされていた父・健二さんの体調も奇跡的に回復した。都市対抗の応援で東京ドームを訪れた際には、側から見れば病を感じさせないほどの回復を見せた。

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