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「石川祐希はやっぱりスゴい」「あれはエグい」セッター関田、リベロ小川がベタ褒め…男子バレー世界一のために必要な“世界最高峰の日常”とは?
 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2024/06/05 11:05

「石川祐希はやっぱりスゴい」「あれはエグい」セッター関田、リベロ小川がベタ褒め…男子バレー世界一のために必要な“世界最高峰の日常”とは?<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

ネーションズリーグ福岡ラウンドから日本代表に合流した石川祐希。圧倒的な存在感でアジアの強豪イラン撃破に貢献した

 試合前から雰囲気は最高だった。

 会場の福岡・西日本総合展示場はJR小倉駅から10分足らずだが、その道のりにある駅や商業ビルの随所に日本代表のポスターや選手の等身大パネルが展示され、大階段にはマッピングが施されている。隣接するあさの汐風公園にはキッチンカーが並び、パブリックビューイング会場も設けられていた。グッズ売り場には長蛇の列。真っ赤な応援Tシャツをまとった人々は地元グルメに舌鼓を打ち、ワクワクしながら試合開始を待っており、お祭り感を味わうには絶好の環境だった。

 国際試合の国内開催は、昨秋のパリ五輪予選以来。しかも、先々週に行われていたブラジルラウンドではアルゼンチン、セルビア、キューバという強豪国を破り、世界ランクは一時、3位まで上昇した。イタリア・セリエAのシーズンを終えて帰国したばかりの石川と高橋藍が不在だったが、サーブで崩した日本代表はブロック&レシーブで切り返し、得点を重ねた。磨きをかけた必勝パターンの構築もさることながら、誰が出場しても戦えることを見事に証明した。

 全員が主役で、全員が欠かせぬ戦力――それでもやはり福岡ラウンド開幕戦で一番の盛り上がりを見せたのは、試合前の練習やメンバー発表で「石川祐希」の名が呼ばれた時だった。

「試合勘がない…」試合前の不安はどこへ?

 石川と高橋藍がチームに合流して練習を開始したのは、福岡ラウンド開幕の4日前。大会に先立って実施された6月2日の公開練習後、セッターの関田は「自分の出来が最悪で、祐希や藍を活かせなかった」と反省の弁を述べ、石川自身もしばらく試合から離れたことで「試合勘がない」と不安を口にしていた。

 それなのに、本番のコートでは不安を微塵も感じさせず、石川も関田も「フィーリング」と口を揃えるプレーで魅了する。冒頭のインナーに叩きつけたスパイクはもちろん、3セット目の序盤に2本続けて石川が放ったバックアタックは見応えがあった。

【次ページ】 「勝負どころで石川へ」セッター関田の巧みなトスワーク

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