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「石川祐希はやっぱりスゴい」「あれはエグい」セッター関田、リベロ小川がベタ褒め…男子バレー世界一のために必要な“世界最高峰の日常”とは?
posted2024/06/05 11:05
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
まさに、か。これぞ、か。
わずか一発で、敵も味方も唸らせる。
ネーションズリーグ福岡ラウンド初戦、イラン相手に2セットを先取して迎えた第3セット。日本に10点目をもたらした石川祐希のスパイクを絶賛するのは、リベロ小川智大だった。
この日、スタメン出場を果たしたレシーブの名手は試合後のミックスゾーンで少し興奮気味にこう言った。
「あれはやばいですよ。いーや、あそこに打つ?って(笑)」
このラリーはセッター関田誠大のサーブから始まった。イランからの返球を小川がネットに近い位置でレシーブ。ややレフト側に高めに上がったボールの下に関田が素早く潜り、その後ろを回り込んで入って来た石川にトス。アタックラインより手前のコースに叩きつけた。
小川は「すごい」「えぐい」と畳みかける。
「確かに空いているのは見えたし、祐希さんはインナー(アタックライン手前のクロス方向)が得意だからやるかも、と思ったけど、僕のパスがAパスではなくて、ちょっと割れていたんです。でも、そのボールに対して、祐希さんが回り込んであのコースに打つ。ちょっとすごすぎましたね。(自分が相手のレシーバーだったら)取れないっす。インナーに来るのは見えているから(コースに)入るけど、思ったよりもどぎついコースなので。あれはエグいです」
セッター関田と“あうんの呼吸”
石川自身も会心の一打だったと笑顔で振り返る。
「あれは関田さんとのコンビというか、あうんの呼吸というか。こうしたいとコールしたわけではなく、お互いがフィーリングでやったもので、そこはずっと練習していなくても変わらないなと思いましたし、いいコースにも打てたので、自分自身としても良いスパイクだったと思います」
かつては何度も苦汁をなめたアジアのライバルに、鮮やかなストレート勝ち。会場いっぱいに詰めかけた7619名の観衆を前に、最高の結果で示して見せた。