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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
長谷部誠の「家族ジョーク」にドイツ記者が爆笑、子どもを抱きしめ号泣…引退試合で見せた40歳父の顔「息子の走行距離、すごかった(笑)」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byItaru Chiba
posted2024/05/20 17:04
笑顔も涙もあった長谷部誠の引退試合。大事な家族の存在が浮き彫りになった5月18日のラストマッチをドイツ在住の筆者がリポートする
妻と娘から贈られたケーキ
契約延長のお祝いとして妻と娘がケーキを作ってくれたことを嬉しそうに話していた。「変わらず穏やかな日々を過ごしています」とも。長谷部はことあるごとにバランスの大切さを口にしていたが、プロサッカー選手として自分のやるべきことは徹底的にやり続ける一方で、オフザピッチでは穏やかな時間に癒されていた。それがあったからこそ、ここまでやり遂げることができたといっても過言ではないのだろう。
ドイツ語での記者会見で地元記者から現役引退の実感について聞かれた長谷部が「難しいですね。まだプロ選手のつもりはあって。でも(それを実感する)時はいつか来る。今がやめる正しい瞬間だと思う。自分のキャリアを誇りに思う」と話した後、こんな風に続けた。
「明日からもっと自由な時間が増えますけど、みなさんも今日2人のモンスターがピッチにいたのをみたでしょ?(笑)明日から僕もまたプライベートでいっぱい走れるかも」
ドイツ人報道陣が一斉に笑った。セレモニーの最中2人の子どもたちはグラウンドを楽しそうに駆け回っていたのだ。特に息子は顔なじみのスタッフに捕まっても、それを潜り抜けまた駆けだしていく。とても微笑ましい様子ではあるが、とはいえ、公の場に連れていくことはさすがに躊躇もあったという。
息子の走行距離すごかったですね(笑)
「妻とも相談しましたけど、まあでも記念になると思います。僕よりも走行距離は長いと思いますよ、今日は。息子の走行距離、すごかったですね(笑)」
そう言って微笑んだその顔は、我が子の成長を心から喜ぶ父親のものだった。歴戦の勇士はこれからまた次のステージでの戦いに臨んでいく。でもそのまえに、愛する家族との時間を心ゆくまで楽しんでほしい。
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