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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
長谷部誠の「家族ジョーク」にドイツ記者が爆笑、子どもを抱きしめ号泣…引退試合で見せた40歳父の顔「息子の走行距離、すごかった(笑)」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byItaru Chiba
posted2024/05/20 17:04
笑顔も涙もあった長谷部誠の引退試合。大事な家族の存在が浮き彫りになった5月18日のラストマッチをドイツ在住の筆者がリポートする
ユニフォーム姿の2人を笑顔で抱きしめて、長谷部は動かなくなった。気持ちを押しとどめることができなくなった。どのくらい抱きしめていただろう。ここまでやり遂げた自分の最後の雄姿を愛娘と愛息に、見せることができた喜びがあったことだろう。苦しいこともたくさんあった現役生活での思い全てが押し寄せてきていたのだろう。
2人が長谷部に手を振りながらベンチにまた戻っても、その姿勢のまま起き上がってこなかった。いつもゆっくりとした動作ですねあてを外しているので、そうかと思ったが違った。涙がとめどなくこぼれてきていた。しばらくしてようやくスッと立ち上がり、シャツの裾で涙をぬぐった。
「終わって、子どもが寄ってきた時はさすがにそれだけでちょっと感極まってしまいました。自分にとってやっぱり、家族はとても大きな存在だったので。思ったよりも、感情が出た。恥ずかしながら」
僕の妻はちょっと面白い
その時の心境を尋ねられると、そういって優しく笑った。40歳まで現役生活を続けるのは並大抵のことではない。常人にはわかりえない悩みやもどかしさ、やるせなさだってあったはずだ。そうした時に家族がどれほどの支えとなってくれたことか。
2021年の契約延長記者会見でこんなことを話していたのを思い出す。
「僕の妻はちょっと面白い。サッカーについては何も言わない。『いつもあなたの後ろに立っている』と言ってくれている。ちょっと古い世代の考え方なのかもしれないけど、妻のことをリスペクトしているし、感謝しています。すごいサポートをしてくれているし、プレッシャーもかけてこない」