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核心にシュートを!BACK NUMBER
Bリーグ王者のエースでも「地元開催W杯は選出されず」…バスケ代表“最後のキーマン候補”今村佳太が振り返る「悔恨の沖縄」と「五輪への想い」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/05/11 17:03
昨季のBリーグ王者・琉球ゴールデンキングスのエースである今村佳太は昨年のW杯では選考から漏れた。来夏の五輪メンバーを虎視眈々と狙っている
合宿序盤でのミーティングで、日本代表のトム・ホーバスHCからパリオリンピックの目標が発表された。
「パリオリンピックでは、グループリーグ突破を目標にします」
ホーバスHCはとにかく目標を大切にする。それがチームを1つにすると確信しているからだ。だから、目標達成のためにふさわしくないようなプレーを選手が見せると、鬼の形相で叱りつける。昭和と比べてコンプライアンスが厳しくなっているのは、一般社会だけではなく、スポーツ界でも同じこと。
ただ、ホーバスHCの妥協なき姿勢に対して選手から不満の声はあがらない。ホーバス自身が目標を信じて疑わずに行動していることをわかっているからだ。ホーバスの強みはきちんと叱れるところにある。
ホーバスHCの問いかけに「はい、もちろんです」
合宿のミーティングでは、各選手が順番に、そんな指揮官から問いかけられた。
「アナタは日本代表が(決勝トーナメントの舞台である)パリへ行けると信じられますか?」
今村はもちろん、こう答えた。
「はい、もちろんです」
今村はようやく代表に復帰したとはいえ、ホーバスHCの信頼をつかみとれたとまでは考えていない。もちろん、2月に行なわれた代表合宿での練習と、2試合で見せたパフォーマンスにも満足はしていない。
ただ、それ以前の代表活動とは決定的に異なることがあった。求められる「役割」が変わったのだ。
かつて代表に呼ばれたときには、ホーバスHCからは3Pシュートを積極的に打つように求められていた。『SLAM DUNK』でいえば、三井寿のようなシューターとしての役割を求められていた。確かに今村は3Pシュートの成功率も高く、それは決して的外れな要求ではない。
だが、昨シーズンのBリーグで頂点に立てたのは、琉球のエースとして自ら点も取れ、アシストもできる選手になれたからだと今村自身は考えている。そして2月の活動では、そんな中心的な役割を任されたのだ。
「『あぁ、自分のことを理解して、今回の合宿に呼んでくれたんだ』と。琉球ゴールデンキングスでやり続けたことを、トムさんが見てくれて、そういう役割を代表でも任せられると感じてくれたということですからね」