「吉井選手が身体を張って、相手のシュートをブロックしたシーンがあったんですけど、その時に、沖縄アリーナがすごく盛り上がって。3Pシュートやダンクなど、バスケでは盛り上がるプレーはたくさんあると思いますが、ひとつのブロックで、1回のディフェンスでみなさんが沸き上がる。やっている日本の選手たちは気持ち良かったでしょうね。逆に、相手チームの選手はやりづらかったでしょう」

　もちろん、日本バスケ史に残る快挙は、ホーバスHCを筆頭に日本代表の選手たちが頑張ったからこそのものだ。ただ、それを支えたのが沖縄のファンたちだった。もちろん県外からも大勢のファンがかけつけたが、彼らもまた地元のファンに呼応するように、選手が「盛り上げてほしい」と感じるところでサポートをしていた。そして、それが日本バスケ界の大きな一歩へとつながった。

代表で献身的なディフェンスを見せた吉井。Bリーグではアルバルク東京に所属　©FIBA

W杯後にはBリーグも人気増

　あの大会から、日本国民のバスケへの興味や関心は大きく変わった。

　バスケW杯での興奮が冷めやらぬうちに開幕した今シーズンのBリーグでは、チケットの取りづらさがファンの話題の中心だった。多くのチームが過去最大の観客動員数を記録し、驚異的なスピードでチケットが完売した試合もあった。

「どの会場を見ても多くのお客さんが駆けつけてくださっていましたよね。日本がバスケでこれほどまで盛り上がるのは、自分の学生時代（※今村は現在28歳）には考えられなかったことなので。沖縄では以前から琉球ゴールデンキングスが認知されていて、どこに行っても温かい声をかけてくださる方がいます。ただ、以前であれば、県外に出たらそういうことはほとんどありませんでした。

　でも、今シーズンは違って。例えば、東京の街を歩いていたときにも『今村選手ですよね？』と声をかけてくださる方が普通にいました。それはバスケ界が盛り上がっているからこそですよね」

W杯では沖縄に集ったファンの大声援がチームを後押しした　©FIBA

　注目と期待は選手に責任と自覚をうながす。そして、それがバスケのレベルを引き上げる。

「盛り上がる分だけバスケのレベルは上がると思いますよ。Bリーグはもちろん、日本のバスケ界が」

　そんななか、先月には衝撃的な発表もあった。

【次ページ】　渡邊雄太の日本復帰で「リーグの戦力均衡が崩れる」