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監督は“公立大卒→現役社長”の超異質キャリア…春季大会で履正社&大阪桐蔭を連続撃破 大阪学院大高の衝撃「目標は大阪1位じゃなく日本一」
posted2024/05/07 17:02
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
試合の終盤には雨粒がポツポツとグラウンドに落ちてきていた。
灰色の雨雲が最後まで空を支配する中、ゲームセット後に今秋のドラフト候補と言われている遊撃手の今坂幸暉が高く突き上げたガッツポーズが、そんな重たい空を切り裂いていた。
「履正社に勝ったのがたまたまと言われたくなかったので。2強と言われている学校を倒せてめちゃくちゃ嬉しいです」
試合後、率直な思いを今坂がすらすらと述べる。春季大阪大会の準々決勝、大阪桐蔭と大阪学院大高校との試合。3日前には4回戦で壮絶な打撃戦となった履正社との試合を制した大阪学院大高校にとっては、ふたつめの大きな山が目の前に立ちはだかっていた。
絶対王者を前にしても…緊張感はナシ
だが、試合前のノックから過度な緊張感は全く感じなかった。
試合は5回まで0-0と緊迫した展開が続いた。大阪学院大高校の先発のエース左腕・前川琉人は緩い球を有効に使いながらテンポ良く投げ込み、5回まで単打ばかり4安打を打たれるも、あと1本を許さなかった。
リードする捕手の志水那優は言う。
「大阪桐蔭の試合が動画サイトに出ていたので、対戦が決まってから各打者の動画は見ていたんです。カウントによって、どこ(コース)を待っているのかを見ながら、厳しいところを攻めるようにしました」
実は志水は、2回に四球で一塁に歩いた際に「少し気分が悪くなって」と右足のもも裏が攣るアクシデントに遭い、タイムを取っていた。試合前には見えなかった緊張感が、いざ試合が始まると体外に出てしまったのだろう。
塁上で屈伸をするなどして緊張をほぐす中、大阪桐蔭のベンチから水を持った選手が現れ、水を口にして何とかゲームに戻ることができた。
試合中はその影響も少し引きずりながらではあったが、徹底したのはインコース攻めだった。試合前から「とにかく大胆に」と前川に声を掛けてきたという志水。その要求通りに内角を攻めつつ、ボール球も振らせて凡打の山を築いた。9イニング中、先頭打者を5度も出塁させてしまったが、うち2度は低めに変化球を集めて、併殺に打ち取るなど相手の流れを断ち切った。