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「外野手・大谷翔平」は実現するか…ベッツとのMVP争い+フリーマンやスミスに“DH休養”などドジャースもメリット、ただ本人の疲労は? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/05/04 06:02

「外野手・大谷翔平」は実現するか…ベッツとのMVP争い+フリーマンやスミスに“DH休養”などドジャースもメリット、ただ本人の疲労は?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

「野手専念」である今季、大谷翔平が外野を守るシチュエーションを目にする機会は来るのか

 たかだか数試合外野を守ったとしても、大谷の守備WARが向上することは考えられないが、これは今後の「いろいろな可能性」を考えるうえで、有意義な試みではあろう。

 まず、ドジャースではDHのポジションを大谷が独占しているために、34歳のベテラン、フレディ・フリーマンなどがDHで「半休」することができない。また捕手のウィル・スミスは、山本由伸との相性が今のところよくない。2番手のオースティン・バーンズにマスクを被らせたい一方で、リーグ屈指の「打てる捕手」スミスをスタメンから外したくない。こういう時は「DH」で使うのが一般的だが、ドジャースには大谷がいるからこれができない。

 とりわけシーズン終盤の厳しい展開で「DH」を使う自由度を上げたい、という意図は理解できる。

 また投手・大谷翔平が、今後、順調に回復すると断言することはできない。大谷自身「今回の手術が最後」と言っているが、これで右腕が回復しなかった場合には「二刀流」を継続できない可能性がある。そんなときに大谷翔平が「DH」だけでなく外野も守ることができる――となれば、選手寿命も延びるというものだ。

日本ハム、エンゼルス時代も外野を守ったことがある

 プロ入り以降、大谷は多くはないものの、外野手として出場したことがある。

【NPB時代】
・2013年
 左翼で4試合、右翼で45試合先発出場。途中出場も含め54試合で外野を守る。
 75刺殺7補殺1併殺1失策

・2014年
 左翼で2試合、右翼で6試合先発出場。
 15刺殺、無失策

【MLB時代】
・2021年
 右翼で6試合、左翼で1試合、途中から守る。

 いずれも1イニング程度の短い期間だったため、守備記録なし。

 2013年、大谷翔平が外野手として記録した7補殺は左翼の中田翔と並ぶチーム1位、リーグでもロッテの角中勝也の9、西武・秋山翔吾の8に次いで、ソフトバンク内川聖一、長谷川勇也、日本ハム中田と並ぶ3位タイだった。

 その豪腕からして右翼手・大谷翔平の強肩は容易に想像できる。イチロー張りのレーザービームで走者を刺すシーンは、ものすごい見ものになる可能性はある。

外野手のオプションは悪くないが、ケガのリスクも

 30歳になろうとする大谷翔平が、外野手という「オプション」を手にすることは、悪いことではない。ファンにとっても外野のフィールドを爆走する大谷の姿は新たな魅力になるだろう。

 ただそれは「外野でも出場できるから、ずっと休まずに試合に出ることができる」ということではない。

 守備に就くことは怪我のリスクを増やすことでもある。

 メジャーリーガーは、元気であっても適当なインターバルで休むもの。大谷は現地時間5月1日のダイヤモンドバックス戦でスタメンから外れ、今季初の休養日となった。たまたまその日にスタジアムに訪れた人は気の毒だが――せめて10試合程度は「休み」の日があっても良いと思う。

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