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「外野手・大谷翔平」は実現するか…ベッツとのMVP争い+フリーマンやスミスに“DH休養”などドジャースもメリット、ただ本人の疲労は?
posted2024/05/04 06:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
大谷翔平が4月を素晴らしい成績で終わったことに、日本国民の一人としてお慶びを申し上げたい。打率.336はリーグ6位、44安打は3位、25得点は6位、7本塁打は5位タイ、19打点は11位タイ、OPS1.017は、リーグ4位。
総合的に見て、大谷翔平はナショナル・リーグでトップクラスの成績であり、このまま好調を維持すればMVP間違いなし、と言いたいところだが、実際にはそんなに簡単な話ではない。
最重要視される「WAR」という指標で見てみると
今のMLB選手を評価するうえで最も重要な指標である「WAR(Wins Above Replacement)」は、投手、野手などポジションの異なる全ての選手の「投」「打」「走」「守」などの記録を数値化し、組み合わせたものだ。
最近、投手のWAR1位は「サイ・ヤング賞」に回ることが多いため、MVPは野手が獲得することが多い。
WARは『Baseball Reference』と『Fangraphs』という2つの記録専門サイトから発表されている。4月30日終了時点でのWARランキングは、それぞれ以下の通り。
〈Baseball Reference〉
1.ベッツ(ドジャース)3.2
2.マルテ(ダイヤモンドバックス)2.3
3.デラクルーズ(レッズ)1.9
4.コントレラス(ブルワーズ)1.8
5.ウォーカー(ダイヤモンドバックス)1.8
6.大谷翔平(ドジャース)1.7
〈Fangraphs〉
1.ベッツ(ドジャース)2.9
2.ボーム(フィリーズ)2.0
3.デラクルーズ(レッズ)1.8
4.大谷翔平(ドジャース)1.7
5.アダメス(ブルワーズ)1.7
となって、どちらも1位ではなく、僚友のムーキー・ベッツに大差をつけられている。
ベッツと大谷の違いは「守備の補正」
確かにベッツは打率1位、安打数1位、本塁打8位タイ、打点3位タイ、盗塁7位タイで、大谷翔平より「やや上」の成績を挙げているが、それだけではこれだけの差にはならない。
ベッツの場合、打撃でのWAR(OffensiveWAR)に加えて遊撃手など守備でのWAR(Defensive WAR)が加点されているのだ。