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松坂大輔「失った理想のピッチング」(連載43)

posted2024/05/04 09:00

 
松坂大輔「失った理想のピッチング」(連載43)<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

WBC2連覇を達成して臨んだ'09年シーズン、既に松坂の身体はボロボロだった。わずか4勝に終わり、翌シーズンにヒジは限界を迎えることになってしまう。

 WBCでの連覇、2大会連続でのMVPを獲得してメジャー3年目に臨んだ松坂大輔は、2009年のシーズン、2度にわたるDL(故障者リスト)入りを余儀なくされ、約4カ月も戦列を離れた。メジャーでの2年間で33勝を挙げた松坂は、3年目を4勝(6敗)で終えることとなる。

◆◆◆

 股関節の痛みもあって第2回のWBCには出場するかどうか悩みましたが、やっぱり僕には出ないという選択肢はありませんでした。出ると決めて3試合に投げて(3勝)連覇を果たし、スプリングトレーニングも終盤に差し掛かったチームに戻りました。WBCの前にはちょっと無理をして乗り切ればシーズンは何とかなると思っていたんですが、優勝してホッとしたからか、レッドソックスでの3年目が始まる前、無理をした反動が来てしまいました。最後のオープン戦で(ブレーブスの川上)憲伸さんと投げ合ったんですが(5回を2安打2失点、自責点は1)、あの試合、まったく身体が動かなかったんです。ちゃんと投げられる感じがしませんでした。5回2失点……そんなふうに試合をまとめられた記憶はありません。それくらい、身体に対しての不安が大きかったんですよね。

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