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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「ひとりだけ特進クラスの生徒が」リバプール遠藤航いつからペラペラに? 現地も注目の流暢な英語力「数年前まで中学レベルの教材を…」
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byProSports Images/AFLO
posted2024/04/26 11:01
リバプールで信頼を勝ち取った遠藤航(31歳)。語学を駆使した高いコミュニケーション力は、プレミアリーグの舞台でも大いに活かされた
室屋についても、こんなエピソードを明かしてくれた。
「彼も最初は『今までちゃんと勉強してこなかった』『学び方そのものが分からない』と言っていたんですけど、レッスンを続けていくうちに”覚醒”して、700ページもある文法の本を1カ月で全部読んでしまいました。さすがにびっくりしましたけど(笑)。彼が独特なのは映画がすごく好きで、作品というよりも“監督の名前”で話ができるタイプだったこと。ドキュメンタリーとかミニシアター系もおさえている。そこをレッスンでも活かすことにしました」
かつて好きな俳優にナタリー・ポートマンとイーサン・ホークの名前をあげ、『パルプ・フィクション』をフェイバリット・ムービーとしていた室屋は、「作家主義的な映画の見方ができるサッカー選手」だという。そういったパーソナリティや個々の状況に応じて、ときに雑談も交えながら最適なカリキュラムを組むことができるのがサカモトの強みだ。
「海外での生活に適応するにあたって、おおまかに人種、言語、文化という3つの壁があると思っていて。このうち人種は変えられないし、お互いを尊重できていればその“壁”をあえて超える必要はない。一方で、言語の壁は努力でなんとかできる部分ですよね。そしてもうひとつ、『言葉だけできても……』というところで文化への理解が必要になってくる。僕は言葉と文化の壁をなるべく薄めて、取り払ってあげたい。純粋にサッカーで評価されたければ、競技以外のマイナスは消した方がいいですから」
そんなサカモトが新たに取り組んだミッションが、メジャーリーグのサンディエゴ・パドレスに加入した松井裕樹への“特別レッスン”だった。日本語、英語、スペイン語、韓国語の4カ国語を駆使した異例のメディア対応には、一体どんな創意工夫が隠されていたのか。現地で絶賛された入団スピーチのウラ側を掘り下げていく。
(後編に続く)