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食事は冷めたピザ、何度も監督室で「クビ」宣告…筒香嘉智はそれでもメジャー挑戦をやめなかった 在米記者が見た「4年間の苦闘」 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO

posted2024/04/20 11:00

食事は冷めたピザ、何度も監督室で「クビ」宣告…筒香嘉智はそれでもメジャー挑戦をやめなかった 在米記者が見た「4年間の苦闘」<Number Web> photograph by USA TODAY Sports/Reuters/AFLO

今年3月、サンフランシスコ・ジャイアンツでプレーする筒香。メジャー挑戦直後の2020年3月にコロナ禍が直撃し、逆境の日々が続いた約4年間だった

メジャー1年目でコロナ禍が直撃

 レイズ入りした2020年2月18日、万全を期してフロリダ州ポートシャーロットで春季キャンプ初日を迎えた。ところが3月中旬、世界的にコロナ禍が拡大し、キャンプのみならず、公式戦実施も白紙となった。その間、練習場所の確保もままならない中、7月下旬からスタートする「年間60試合」の変則開催が決まった。オープン戦など対外試合は組めず、チーム内の紅白戦などで実戦感覚を取り戻すしかなかった。メジャー1年目としては、異例と言える「ぶっつけ本番」の船出だった。

 無観客は言うまでもなく、毎日PCR検査を受けて球場入りするなど、前代未聞の状況で迎えた7月24日の開幕デビュー戦。「3番三塁」でスタメン出場した筒香は5回の第3打席、ブルージェイズの左腕・柳賢振から左中間へ豪快な2ランをたたき込んだ。筒香特有の中堅から逆方向への一発に、周囲の期待は高まる一方だった。ところが、その後、筒香のバットからは快音が途絶えた。動く速球だけでなく、「バレルゾーン理論」の浸透に伴い、時速150km台後半の高めの速球を軸とした配球に対応するのは簡単ではなかった。

2年目の逆転サヨナラ弾、3年目は1年契約を選択

 翌21年には、レイズから戦力外通告を受けた後、ドジャースを経て、シーズン終盤の8月、大砲不在のパイレーツへ移籍した。同29日の本拠地カージナルス戦では9回、右翼場外へ消える特大の逆転サヨナラ3ランを放つなど、持ち前のパワーを発揮した。同オフには、パイレーツから複数年契約を提示されたにもかかわらず、自ら1年契約を選択した。だが、開幕直後に腰痛に見舞われたのを機に、戦列から離脱した。そこから再びプレー機会を求め、他球団を渡り歩く日々が始まった。

【次ページ】 ビザ取得が遅れ、調整が間に合わなかった4年目

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