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ドラフト指名漏れ“21歳の日本人”がドジャースと契約した11年前「ヤベェところに来ちゃった」マイナー解雇を経て…会社員&投手コーチの今

posted2024/04/21 06:00

 
ドラフト指名漏れ“21歳の日本人”がドジャースと契約した11年前「ヤベェところに来ちゃった」マイナー解雇を経て…会社員&投手コーチの今<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平や山本由伸の活躍で注目されるメジャーリーグだが、誰もがそのサクセスストーリーを踏んだわけではない

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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Nanae Suzuki

 明治大の投手コーチ、西嶋一記のノートにはあの日の日付がしっかり記されていた。

「2013年3月18日です。マイナーのコーディネーターに呼ばれて『お前を起用する場所がない』って言われたんですよね。メディカルチェックを受けて、翌日に帰国しました」

「隣を見てみろ、そいつらがライバルだ」

 大谷翔平や山本由伸の活躍で注目されるメジャーリーグだが、誰もがそのサクセスストーリーを踏んだわけではない。多くの“夢破れた日本人選手たち”がいる。

 西嶋もその1人だった。2011年にドジャース傘下のマイナーに入団したが、3年目のスプリングトレーニングの最中に解雇を通達された。

「アメリカに行った時はヤベェところに来ちゃったなと。コーディネーターに『隣を見てみろ、そいつらがライバルだ』って言われて。170人くらいはいたと思います。すごい奴らばかりでした」

 そのメンバーには昨季、ワールドチャンピオンに輝いたレンジャーズの中心打者、コーリー・シーガーなどがいた。

「のちに日本でプレーした選手もいました。ヤクルトのマクガフ投手や阪神にいたガルシア投手、巨人のサンチェス投手も。マクガフ投手とは、彼が日本にいるときは連絡をとっていました」

横浜→明治大、ドラフト指名漏れを経て…

 西嶋とアメリカとの縁は中学時代にあった。シニアの選抜チームで渡米し、現地でホームステイを経験。メジャーへの憧れを抱いた。高校は名門・横浜に進学。3年春に背番号「11」をつけてセンバツ制覇に貢献し、明治大へ進んだ。3年秋に最優秀防御率を獲得するなど活躍。1学年下の野村祐輔(広島)としのぎを削った。

 その明大時代に、西嶋は2度目のアメリカを経験する。4年時に、同大学が野球部創部100周年記念事業としてアリゾナキャンプを実施。ドジャースタジアムで1日練習したのち、ドジャースのキャンプ地、アリゾナへ向かったのだった。

「黒田(博樹)さんがチームにいらっしゃって、エースのカーショウ投手が売り出し中の頃でした。ドジャースタジアムは感動しましたね、いつか、ここで投げたいなと」

【次ページ】 じつは“自由じゃない”アメリカの育成

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