スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「負担増えている」発言、大谷翔平は3回繰り返した…ピッチクロックへの意見を米国メディアも注目「がっかりした」ケガ人続き、スター選手も不満
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKYODO
posted2024/04/10 17:26
現地4月8日のツインズ戦前、報道陣の取材に応じた大谷翔平(29歳)。「(ピッチクロックで)間違いなく負担増えている」と発言
「ジ・アスレティック」のユーノ・サリス記者は、「故障の最大要因は、球速の上昇」とハッキリと書いたうえで、「フライボール革命」を経て打者が有利になってきた趨勢で、投手たちは常に全力で投げることが必要となり、その結果として平均球速は上昇し、けがのリスクが増大したと書いている。
「現在の野球は最大限の努力が求められるゲームになった」
という言葉は、ひじょうに重い。速球を投げられる天賦の才に恵まれた者ほど、リスクが高い。なんと切ないことか。
「負担は増えている」大谷翔平は3回繰り返した
そしてこの件について大谷が口を開いた。4月8日、記者団とのやり取りのなかで、このように答えた。
「間違いなく負担は増えている。それは間違いないとは思うので、レスト、リカバリーというか、体への負担自体、短い時間で多くの仕事量をこなすというのは、負担自体は間違いなくかかっているとは思います。それがどの程度、今回のに反映されているかっていうのは確証はないですし、自分の感覚として、それはあるんだろうなと思いますけど」
さらに、球速やスピンレート、それに加えてピッチクロックが故障に影響しているのかについて質問を受けた大谷はこう答えた。
「球質自体を上げていくという作業もそうですし、なおかつ自分のベストのボールを投げ続けなければいけない。もちろん僕はピッチャーをやっているので、手を抜くではないですけど、軽く投げていくシチュエーションというのは、先発ピッチャーでもなかなか少ないというのはもちろんそうだと思いますし、ピッチクロックというのは間違いなく、体への負担自体は増えていると思います」
「がっかりした」スター選手の不満
今回、大谷が自分のスタンスを表明したことには大きな意味があると思う。昨季、大谷自身が故障し、手術を受けた当事者であり、その言葉は説得力を持つ。事実、今回の発言はロサンゼルスのメディアだけでなく、アメリカで広く報じられることになった。