濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
逮捕者続出のブレイキングダウンが問われる「格闘技か、喧嘩か?」 一般的な生活が分からない“不良たちの実像”「大きい声を出すか手が出るか…」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2024/04/09 11:00
ブレイキングダウン「喧嘩自慢トーナメント」の記者会見で起きた乱闘の様子
運営は「無期限の出場停止」を発表
朝倉未来CEOは、逮捕された選手たちの出場停止を表明。運営も公式に「無期限の出場停止」を決定、運営方針をあらためて発表した。以下は発表された文章からの引用だ。
〈今後、警察の捜査等により、刑事罰が確定するまでは、当該選手の無期限の大会出場停止処分とし、事実関係が明らかになった時点で各選手の処分を決定してまいります。
BreakingDownは過去に失敗したり、躓いたり、過ちを犯した人に再挑戦の機会を提供したいという思いが根底にあり、大会参戦にあたっては過去の経歴を問わず様々な選手を受け入れてきました。また、BreakingDowdn参戦以降は選手の新しい門出のサポートを支援・促進してまいりましたが、過去に大会に出場した選手や大会関係者の暴力や犯罪行為を一切容認せず、今後もこのような事態には厳正に対処してまいりたいと思います〉
当然といえば当然の内容。大会運営のスタンスも伝わる。単に「逮捕→出場停止」というだけでなく、事実関係を重視するというのもブレイキングダウンらしさだろう。
事件を起こして逮捕されるのは許されないこと。ただ、そこにどんな事情があったのかも見ていくというわけだ。それは世間一般と運営側の“不良”への理解度の違いと言っていい。
「格闘技をかじった時点で傷害なんて絶対しちゃいけない」
逮捕者が続出するという事態を受けて、大会首脳陣たちが話し合う姿もYouTubeで公開された。語ったのはスペシャルアドバイザーの朝倉海、溝口勇児COO、それに瓜田だ。瓜田はブレイキングダウンに選手として登場し、現在は出場者たちのまとめ役を担っている。
「ブレイキングダウンは悪いことをした人にもチャンスを与えて、更生してほしいという思いがある。更生して成功してる人もいて、いいイベントだと思います。でも事件を起こして捕まる人がいると、全体がそうだと思われてしまう。選手はブレイキングダウンに出ることで知名度と影響力を持つことになる。その責任を今一度しっかり感じてほしい。
捕まるのは傷害が多くて。格闘技をかじった時点で傷害なんて絶対しちゃいけない。僕は何されても殴り返さない自信、その意識があります。(傷害を)やっちゃう神経が僕には考えられない」
そうまっすぐに語ったのは朝倉海。溝口COOは複雑な胸中を露わにした。
「ブレイキングダウンは不遇な人生、環境で育った人でも拳一つで成り上がる姿を見せることで同じような状況の人にも勇気を与えたい。一歩踏み出せば何者にでもなれるというのを見せたいというのがベースにある。
真面目な人、頑張ってる人にスポットを当てるべきと言われるけど、何者でもない持たざる者、不遇な境遇の子がスポットを浴びられる場所は本当になくて。みんながうしろ指さしても、我々くらいは優しくあっていいんじゃないか。でも逮捕者が出ると、その信念も揺らいできてしまう」