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巨人・阿部慎之助監督「完敗でございます」も開幕シリーズで阪神に勝ち越し…浅野翔吾の起用にみる阿部野球「1試合を勝つためだけにやってない」

posted2024/04/02 17:50

 
巨人・阿部慎之助監督「完敗でございます」も開幕シリーズで阪神に勝ち越し…浅野翔吾の起用にみる阿部野球「1試合を勝つためだけにやってない」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

阪神との開幕シリーズを2勝1敗と勝ち越した巨人・阿部慎之助監督

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Hideki Sugiyama

 開幕の号砲と共に阿部慎之助監督率いる巨人が好スタートを切った。

「完敗でございます」

 昨年の覇者・阪神に3連勝のかかった3戦目を落とした試合後の会見。阿部監督のこんな敗戦の弁からも、目指す阿部野球への確かな手応えと自信を感じ取ることができた。

 昨年は3連戦で1度も勝ち越すことができないままに6勝18敗(1分け)とやられまくった阪神戦。巨人にとっては決して143分の3ではなかったはずだ。是が非でも勝ち越して、昨年の悪夢を振り払う。それがこの3連戦に課された使命である。

「この1試合を勝つためだけにやっていない」

 第1戦は初のオープニング投手を務めた新エース・戸郷翔征投手が6回100球を投げ4安打無失点。7回からはドラフト1位ルーキーの西舘勇陽投手から中川皓太投手、そして絶対守護神・大勢へと繋ぐ“勝利の方程式”も機能した。野手陣も3回の守備では開幕直前に退団したルーグネット・オドーア外野手に代わって「3番・右翼」で先発出場した梶谷隆幸外野手が、1死一、二塁から右中間を襲った打球をダイビングキャッチ。5回に内野ゴロの間に先制点を奪うと、その梶谷が試合の流れを決める2ランを放つ活躍で白星スタートを切った。

 第2戦も先発のフォスター・グリフィン投手から投手陣がしっかり阪神打線を抑え込むと、主砲・岡本和真内野手の2ランに坂本勇人内野手のソロという主軸2人の連続アーチでゲームの主導権を握る。7回には阿部監督が復活を後押しする松原聖弥外野手のタイムリーと理想的な展開で、開幕カードの勝ち越しを決めた。

 第3戦こそ落としたものの、先発した移籍組の高橋礼投手が6回を1安打無失点と好投して、期待通りの投球を披露したのも収穫だった。

「この1試合を勝つためだけにやっていない。最後、優勝するためにやっているので。その通過点かなと思います」

 開幕にかけた思いは特別だったと思うが、同時に開幕勝利を飾った試合後の阿部監督のこのコメントには、1年というスパンで選手を動かし、チームを機能させる阿部野球の姿が読み取れる。

梶谷の起用方針

 開幕カードで見えてきた阿部野球とは何か。選手起用で目立ったのが、故障リスクを回避してシーズンを通していかに選手を使い切るかという考えだ。

【次ページ】 梶谷の起用方針

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