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巨人・阿部慎之助監督「完敗でございます」も開幕シリーズで阪神に勝ち越し…浅野翔吾の起用にみる阿部野球「1試合を勝つためだけにやってない」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/04/02 17:50

巨人・阿部慎之助監督「完敗でございます」も開幕シリーズで阪神に勝ち越し…浅野翔吾の起用にみる阿部野球「1試合を勝つためだけにやってない」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

阪神との開幕シリーズを2勝1敗と勝ち越した巨人・阿部慎之助監督

 初戦の先制点は5回1死三塁から1番・佐々木俊輔外野手の遊ゴロに、ギャンブルスタートで突っ込んだ三塁走者の吉川尚輝内野手が間一髪でもぎ取ったものだった。

 直前には佐々木がセーフティースクイズを敢行。失敗すると、すぐさまギャンブルスタ―トに切り替えた。さらに1死一塁から2番の門脇誠内野手が初球に送りバントを失敗すると、今度はエンドランを仕掛ける。これで併殺を逃れた直後に飛び出したのが、梶谷の2ランだった。

 守りでも捕手出身の監督らしく、要所ではベンチからサインを出して、バッテリーをサポートもしている。

「やっぱり監督は捕手出身ということもありますから、去年も要所でそういうことはやっていた。ベンチから出すサインが絶対というより、バッテリーが迷っているときに手助けする。そうやってサポートしている」

 こう語るのは自身も捕手出身の村田善則総合コーチだ。

「うまくハマってできたかな、と」

 第1戦では先発・戸郷が1回2死から阪神4番の大山悠輔内野手にボール3となった。すかさず阿部監督の手が動き「真っ直ぐで行け!」というサインだった。

「僕ももともと真っ直ぐを投げることで決めていたし、ウイニングボールも真っ直ぐで決めていたので……」

 戸郷はこう語ったが、やはりベンチと息の合った決断は、バッテリーの余計な迷いを払拭する力にもなっただろう。

 そうやってベンチ主導で選手を動かしもぎ取った開幕連勝だった。

「なんか凄くいい緊張感でやらせていただいたので嬉しかったです」

 開幕戦の試合後に初采配の感想を聞かれた指揮官はこう笑顔をこぼした。

「選手には僕が勝つために考えるから、選手は思う存分、グラウンドでプレーしてくださいと言ったからね。うまくハマってできたかな、と」

 勝敗の責任は監督が引き受ける。そのためのコンディショニングから戦略、戦術をベンチが考えるので、選手たちは思い切り野球に打ち込んで欲しい。まさにそれが阿部野球の目指す姿だということだ。

浅野の起用法にみる阿部監督らしさ

 そしてもう1つ、阿部監督らしいと思ったのが、2年目の浅野翔吾外野手の起用法だった。

 キャンプでは故障組からスタート。「開幕一軍はないと思う」と語っていた阿部監督だが、順調に階段を上がって、最後の最後に招集した一軍で結果を残すと、迷うことなく開幕メンバーに入れた。

 しかし……。

【次ページ】 阿部流の“英才教育”

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