フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
りくりゅうは欠場中も「希望を失わなかった」落ち込んでいた木原龍一を支えた、三浦璃来の“ある一言”「あらためて良いチームだと思いました」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2024/03/29 17:12
ケガ、欠場を乗り越え、世界選手権で銀メダルを獲得した三浦璃来・木原龍一
「ここまでひどいのは今回が初めてで…」
会見場にはマルコット・コーチが来て事情を説明し、40歳で女子として史上最年長世界チャンピオンとなったステラトデュデクとパートナーのデシャンへ、木原からの祝福の伝言を伝えた。
後に日本チームのドクターから、運動誘発性のぜんそくの可能性が高いとの発表があった。モントリオールは連日雪で、空気が極度に乾燥していた影響もあったのだろう。
翌日の一夜明けの囲み取材で、薬で症状が落ち着いたという木原はこう説明した。
「試合後に症状が出ることはあったんですけど、ここまでひどいのは今回が初めてで、今思い返せばここ数カ月ぐらい違和感は確かに出ていて、練習中から明らかに息があがることもありましたし、手のしびれとか感じてたんですけど、トレーニング不足から来てるものだというふうに思っていました。今思えば違っていたのかもしれない。これから日本に帰国して治療を受けていきたいと思っています」
「あなたは出来るんだよ」木原を励ました三浦
ここに到達するまでに、不安も抱えていた木原を三浦が支えてきたのだという。
「龍一くんからネガティブな発言が出てくるというのはすごく珍しいというふうに感じました。良い練習を積んでいる中でもネガティブな発言がすごく多かったので、『あなたは出来るんだよ』と言って(笑)、私よりも自信を持った方が良いという話はしました」と三浦。
普段は年上の木原がリーダー的役割で、特に昨年は怪我をした三浦を木原が支えてきた。
「普段からぼくの方がしっかりしてますし、サポートする立場は多いんで。その中でも(今季は)自分の弱い部分が出ることが多かったんですけど、初めてサポートしてもらって嬉しかったですし、感謝してますし、良いチームだなと改めて思いました」と木原はパートナーへの感謝の気持ちを口にした。
最終日の男子の表彰式の後に、3組揃ってのペアの表彰台写真撮影が改めて取り行われた。曇りのない笑顔で、他の2組を祝福した三浦&木原。大会後はしばらく日本で休養し、検査と治療に専念すると語った。オフシーズンにしっかり体調を整えて、万全の状態で来季に備えてほしい。