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りくりゅう世界選手権銀メダル「2人とも精神的に成長できたな」珍しくネガティブな木原龍一を三浦璃来は励ました「あなたは…できるんだよ!」

posted2024/03/30 11:05

 
りくりゅう世界選手権銀メダル「2人とも精神的に成長できたな」珍しくネガティブな木原龍一を三浦璃来は励ました「あなたは…できるんだよ!」<Number Web> photograph by AFLO

世界選手権で銀メダルを獲得した三浦璃来&木原龍一の“りくりゅう”ペア

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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 モントリオールで開かれた世界選手権(3月20−24日)、ペアのメダリスト記者会見。そこに三浦璃来&木原龍一組の姿はなかった。代わりに現れたのは、ブルーノ・マルコットコーチだ。

 2人は、フリーで自己ベスト更新の演技を見せ、217.88点で銀メダルを獲得。ところが演技後、木原の咳が止まらなくなりメディカルルームで酸素吸入を受ける事態に陥っていた。

 会見の冒頭、ブルーノコーチはメダリストたちに一礼すると、木原の席に座り、マイクを握った。

「まず今大会のみなさんの素晴らしい演技、そして2人の成し遂げたことを誇りに思います。(表彰式を待ちながら)『2人とも頑張ったね』と話しあっていたのですが、突然、龍一が咳を始め、めまいがして立つことができなくなりました。ストレッチャーに寝かせ、酸素吸入をするうちに、少し回復してきました。すると龍一が私にこう言ったのです。『表彰式に出る事ができず申し訳ない』、そして『(優勝した)ディアナとマックスに直接おめでとうを言えなくて申し訳ない』と。それなので僕からこの場で、2人にお祝いを伝えさせていただきます」

 酸素吸入を受けるような状況でありながらも、優勝ペアへお祝いの言葉を伝えたいと思った木原。それを記者会見で伝えようと、代理で現れたブルーノコーチ。そしてセレモニーや会見には出ず木原に寄り添った三浦。そのすべてが、チームの絆と優しさを物語っていた。

もう一度這い上がっていこう、というメッセージ

 今シーズンの“りくりゅう”は、木原の怪我から始まった。夏に腰の違和感を覚え、腰椎分離症と診断されると、GPシリーズを欠場。1月から本格的な練習を再開し、2月の四大陸選手権は190.77点で2位に。そこからの6週間でどこまで上げてこられるかが、前年王者の意地の見せ所だった。

 ショートは2人の明るい空気感をそのまま表したような曲『Dare You to Move』。

「僕たちが使っているのはバイオリンバージョンなのですが、原曲の歌詞は『もう一度立ち上がっていく』という内容。僕たちはもう一度這い上がってこう、というメッセージを込めています」(木原)

 三浦のエメラルドグリーンの衣装が、氷に映える。持ち味のスピード感あるスケーティングを取り戻し、勢いよく滑り抜いた。地元カナダのペアに次いで、73.53点での2位発進。初戦のオータムクラシック(昨年9月)が59.13点、今年2月の四大陸選手権は65.61点だったことからすると、驚異的な回復ぶりだった。

【次ページ】 「もう1試合あれば80点台に行けたね!」

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三浦璃来
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