猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックスの開幕投手・宮城大弥に聞いた「山下舜平大はライバルですか?」その答えに見えた“愛されキャラ”だけじゃない「新エースの肖像」
posted2024/03/29 11:07
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Hideki Sugiyama
オリックスにとって、パ・リーグ4連覇を目指すシーズンが開幕する。
山本由伸(ドジャース)が抜けた今季、新たなエースと期待されているのは、左腕の宮城大弥と右腕の山下舜平大だ。
22歳の宮城は2019年、21歳の山下は2020年のドラフト1位。仲のいい2人はファンの間で“ぺやぎ”と呼ばれて愛でられている。
宮城から舜平大へ
宮城は昨年まで、投手四冠の山本に対して「由伸さんからタイトルを奪いたい」と挑発的なことを言っては返り討ちにされていた。それでも3年連続で二桁勝利を挙げ、昨年の防御率はリーグ3位の2.27。現チームではトップの実績と安定感だ。その宮城は、山下の存在をどう捉えているのだろうか。単刀直入に聞いてみた。
山下舜平大投手はライバルですか?
「いや、まったく」
まったく?
「彼のほうが、すごいんで。ポテンシャルあるんで。成績見たら一番わかりやすいです」
もちろん山下のポテンシャルは規格外だ。身長190cm、体重100kg超の体格から最速160kmの剛速球を投げ込む。昨年、開幕投手として一軍デビューを果たすと、ほぼストレートとカーブの2球種で組み立て9勝を挙げた。8月末に怪我で離脱したこともあり規定投球回には達しなかったが、防御率は1.61で新人王を獲得した。
2年目から3年連続二桁勝利
一方の宮城は技巧派だ。正確なコントロールで多彩な球種を操る。コンパクトなフォームからギャップのある150km前後のキレのあるストレートを投げ込んだかと思えば、80~90km台のスローカーブで50km以上もの球速差をつけたり、絶妙に間を変えたり、宮城のピッチングには打者を惑わす仕掛けがいくつも施されている。唯一無二のスタイルを築き上げてきたからこそ、高卒2年目から3年連続で二桁勝利を積み重ねることができた。