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格闘技PRESSBACK NUMBER
「彼は親友だった」あのピーター・アーツが号泣… “傷だらけの暴君”はなぜ戦い続けたのか? カメラマンの心が震えた「40歳、K-1最後の戦い」
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph bySusumu Nagao
posted2024/03/23 17:11
2010年の『K-1 WORLD GP』準決勝、絶対王者セミー・シュルトに猛攻を仕掛ける40歳のピーター・アーツ。この日がK-1での最後の戦いとなった
「確定ではないけど、もう試合はしないと思う。今は新団体『LEGEND』を立ち上げたので、そちらに集中したい。3月24日の次は7月に第2回大会を予定している。セミーも来日して弟子が参戦するんだ。いまから凄く楽しみにしているよ」
『LEGEND』とは3月24日に横浜・大さん橋ホールでアーツが主催するイベントのことで、彼の息子と娘も試合をすることになっている。
最近は日本の試合会場でアーツを見かけることが多い。本人に尋ねてみたところ、現在は基本的に日本で暮らしているようだ。
「この国が大好きだし、日本に住むのは自然な流れだったよ。自分を大きく、有名にしてくれた場所だから、その恩返しをしたいんだ。僕の経験や知識を伝授して、日本の格闘技を強くしていきたい。日本中でセミナーをするのもすごく楽しいね」
SNSなどでの対戦相手への挑発が話題を集める現在の格闘技界については、このように考えている。
「対戦相手をリスペクトするのはとても大事だと思っている。昔はそれがいちばん大切なことだった。でも、いまはそれが大事にされていないと思う。そのような風潮も変えていきたい。それが『LEGEND』を立ち上げた理由のひとつでもあるんだ」
では、あなたにとってキックボクシングとは? 最後にそう質問すると、いかにもアーツらしい、いや、「アーツだからこそ言える言葉」が返ってきた。
「キックボクシングは僕の人生だ。自分が世界で一番キックボクシングのことを知っている。そんな自信がある」
<前編から続く>