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ボクシングPRESSBACK NUMBER
30歳井上尚弥が米メディアに語った“5.6”ネリ戦展望「ネリは歩きながら打ってくる感じ」「過激な挑発があれば(山中さんの)想いを乗せていく」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Fukuda
posted2024/03/15 11:04
米リングマガジンのインタビューに応じた井上尚弥(30歳)。本稿では、その日本語版を特別に全文掲載する
――2022年、パウンド・フォー・パウンド1位に浮上したときと、今回の賞を受け取ったときの感覚の違いは?
NI 2023年のファイター・オブ・ジ・イヤーという全米の記者が投票しての最優秀選手を獲得して、なぜパウンド・フォー・パウンド1位にならないんだろうなという疑問はありましたけどね。あれ、そっちは1位にならないんだっていう(笑)。自分が昨年2試合したからだとか、いろいろな基準があるんだと思います。だからパウンド・フォー・パウンドの順位の方がボクシングをやっていく中で大事なランキングなのかなと率直に思いましたよね。
――リングマガジンの年間最優秀選手の受賞はどのように知ったんでしょうか?
NI 大橋(秀行)会長からLINEのやりとりで聞きました。「本当ですか? ありがとうございます!」みたいな感じでしたね。
――BWAAのジョセフ・サントリキート会長から直接電話で祝福されたということですが、その電話は大橋ジムに来たんでしょうか?
NI はい、ここ(大橋ジム)で話しました。電話が来ることは事前に知らされていました。10分くらいだったので、そんなに話したわけではないです。受賞した話と、授賞式で受け取る記念の盾の話とか、そんな感じでした。
――リングマガジンのダグラス・フィッシャー編集長、サントリキート会長は例年、ニューヨークで挙行される年間賞授賞式に井上選手が出席するのを楽しみにしていますが、どうするのでしょう?
NI 6月ですよね? 次の試合(ネリ戦)が終わって1カ月後くらいなんで、前向きに考えています。ただ、英語のスピーチがありますよね。表彰式で行く限りではあるだろうなと思うので、そこが一番気になります(笑)。
「パズルがはまらなかった」の真意
――受賞の理由となった2023年の2試合を少し振り返って下さい。12月のタパレス戦は技術的にもハイレベルだったと思いますが、勝利後の満足感はどうだったんでしょう?
NI 満足感は、どうだろうな、スーパーバンタム級に上げて初戦のフルトン戦の方が未知な部分が多かったんで、そっちの方がやり遂げた感はありましたけどね。一度経験したスーパーバンタム級でのタパレスとの試合というのは、何となくスーパーバンタムの身体の作り方というのもある程度わかりつつ、臨んだ試合でした。もちろん自分もライトフライ級から階級を上げ、毎回階級の不安要素というものを抱えながら試合をしているので、(満足感は)スーパーバンタム級でフルトンに勝った時の方が大きかったかなというのはあります。
――NHKのドキュメンタリーでは「タパレス戦はパズルがはまらなかった」という形容をしていました。ベストの内容ではなかったのでしょうか?
NI ベストかどうかと言われたら、自分が100%満足する、理想としていた倒し方はできていなかったので、だからああいう表現の仕方になったんです。