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ボクシングPRESSBACK NUMBER
30歳井上尚弥が米メディアに語った“5.6”ネリ戦展望「ネリは歩きながら打ってくる感じ」「過激な挑発があれば(山中さんの)想いを乗せていく」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Fukuda
posted2024/03/15 11:04
米リングマガジンのインタビューに応じた井上尚弥(30歳)。本稿では、その日本語版を特別に全文掲載する
――タパレスは強かったですか?
NI 強さは感じましたね。驚くことはなかったですけど。
――以前、(2019年5月の)エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦のときに、初回に「あっ」と思ったという話をされていました。タパレスにはそういった驚きはなかったけれど、底力は感じたということでしょうか。
NI はい、驚きはなかったですけど、実力はあったと思います。
――統一王者から2度のダウンを奪ってKO勝ちなら圧勝ですが、それでも一部から“苦戦”と呼ばれてしまいます。それは残念なことなのか、逆に自身の価値を評価されているなと感じるものなのでしょうか?
NI 期待値が高いというのは率直に自分が感じることではあります。だからこそ、もっとやってやろうという気持ちになります。それも新たなモチベーションになるといえばそうですね。
「パーフェクト」と評されたフルトン戦
――フルトン戦は昇級第一戦だったということだけでなく、試合内容自体も「パーフェクトファイト」としてアメリカでも評価されています。ご自身でもその通りですか?
NI フルトン戦は出だしの入りも含め、最後のフィニッシュシーンも含め、パーフェクトだったんじゃないですかね。100点に近い点数? そうですね。
――これまででベストの勝利だったのでしょうか?
NI ベストバウトは決めづらいですけど、直近のフルトン戦はそれに挙げられるんじゃないですかね。内容もそうですけど、1つ1つの試合に対してやっぱり思いも意気込みも違ったりだとか、いろいろあると思います。相手の実力も含めた上で、試合内容で何がベストかと言ったらやっぱりパーフェクトなのは初回KOで勝ったファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦じゃないですか。
――フルトン戦は黒人選手との初めての対戦ということでも話題になりましたが、その点で感じたことはありますか?
NI 国柄なのかはわからないですけど、何となくやっていて違いは感じました。もちろんボクシングの仕方もそうですけど、(大きかったのは)メンタルの部分。フルトンは割と考えていることが表情に出ていたのかなと思います。まあ黒人選手相手はまだ1試合だけなので、それが国柄なのかはわからないですけど、そう感じました。
――ダメージ、考えていることが表情に表れていたんですか?
NI 自分は割とそこは察知できるんですよ。自分のボクシングを第1ラウンドで相手がどう感じて、どう思っているのかっていうのをまず察知するようにしています。フルトンは割と表情にわかりやすく出ていましたね。(パンチをもらいたくないというのが)見えやすい選手でした。(黒人選手だからかは)わからないですけど、アメリカ人ってわりかしパンチをもらうのを嫌がるじゃないですか。そういうボクシングの教えなのか、日本人の大和魂みたいな気持ちはないと思うんです。まあ、ある選手も中にはいるとは思いますけど。
――率直な言葉を使うと、フルトンは第1ラウンドでビビったと思いますか?
NI ビビったというよりも、警戒しているなと感じましたね。1ラウンドのフルトンの驚きというのは、ジャブの刺し合いとかでもそんなに負けたことがなかったと思いますが、そこに自分が全部ついていったことに対してでしょうね。1ラウンド目のジャブの刺し合いなんかでは、1発も負けていないくらいだったので、そこでの驚きと警戒心は普通に見て取れました。