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ボクシングPRESSBACK NUMBER
30歳井上尚弥が米メディアに語った“5.6”ネリ戦展望「ネリは歩きながら打ってくる感じ」「過激な挑発があれば(山中さんの)想いを乗せていく」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Fukuda
posted2024/03/15 11:04
米リングマガジンのインタビューに応じた井上尚弥(30歳)。本稿では、その日本語版を特別に全文掲載する
――5月に予定される次の試合では、ネリが相手になると推測されています(取材日:2024年1月27日)。ここではネリと戦うと仮定して話を進めたいのですが、まずネリの率直な印象は? 長所はどういうところだと思いますか?
NI 打たれ強さもあるし、打ち合う時は打ち合うという気持ちもある。打ち合いに強い選手だな、という印象ですね。
――特に序盤ラウンドに強さを発揮する選手ですが、注意すべきはそういうところでしょうか?
NI そうですね、注意すべき序盤も自分が上回れるようにしたいですし、もちろん上回る自信はあります。ネリの得意とするパターンを見ていると、ショートパンチではなく、わりかしミドルレンジで連打を打ってきます。歩きながら打ってくるような感じ。(気をつけるべきは)そこの距離感ですかね。
――その戦い方というのは世界レベルでも独特なものでしょうか?
NI 独特じゃないですかね。
――準備が難しい点があるとすればそこでしょうか?
NI イメージしながら、あとは当日にどうするか。ああいうスパーリングパートナーを見つけるというのも難しいことなので、イメージと反復練習ですね。
「過激な挑発があれば、想いは乗せますよ」
――ネリの弱点はボディと見られていますが、その点はいかがでしょうか。
NI タイミングよく入れば、ボディはネリじゃなくても弱点になっていくんじゃないですか。
――ボディにいいパンチが入れば効くのはネリに限ったことではないということですね。ネリと日本ボクシング、山中慎介さんとの間に存在する因縁について感じることはありますか?
NI それに関してはないですよ。これは自分とネリとの戦いであり、過去にどんな戦いがあったかっていうのは5月の試合には関係のないことです。ただ、今後、ネリ陣営が昔の話を掘り出してくるのであれば、その時はその気持ちも乗っけていきます。ツイッター(X)などで見ていても、ネリのインタビューとか読んでも、やっぱり山中さんとの試合のことを口に出してきていますよね。そういう過激な挑発があればそれはその想いを乗せていきますよ。
――昨年2月、アメリカで挙行されたネリ対アザト・ホバニシアン(アルメニア)戦はリングマガジンで2023年度の年間最高試合に選ばれています。その一戦の映像は見ましたか?
NI いや、見てないですが、ハイライトは見ました。ホバニシアンはスパーリングをやりましたけど、サウスポーは苦手なのかなとは思いました。(だからネリ戦では)そんなに彼の力は出ていなかったんじゃないかなと思っています。
――スーパーバンタム級でしばらく戦いたいという話もされていました。ネリ以外ではムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)という強い元王者がいます。その他ではサム・グッドマン(豪州)、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)といった選手は頭に入っていますか?
NI アフマダリエフはスーパーバンタム級に上げると決まっていた時のチャンピオンだったので、もうチェックはしています。アマチュアの裏打ちがあった上での技術とパワー。そこが一番じゃないですかね。グッドマンの試合はまだ見たことがないんですよ。戦績、身長、年齢とかの詳細も知らず、名前しか聞いたことはないんです。ただ、ネリと戦って、その次の次くらいの対戦相手だと思うので、やるとしてもまだまだ先の選手かなというイメージです。
(後編へ続く)
★後編では、2024年のスケジュールや現役引退後のビジョンを明かしている。