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久保建英22歳が“3つ上の怪物”エムバペに屈し、親友イ・ガンインとハグ「信じてくれる限り…」初CL終幕も、撮影カメラマンは希望を見た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/03/08 11:01
久保建英とキリアン・エムバペ。チャンピオンズリーグの舞台で日本が誇るアタッカーはどんな経験値を得たか
ただ時間が進むにつれ、PSGのボール保持時間が長くなる。そんな展開でも、ソシエダはチームとしてGKにまで全力でプレスをかけにいくほどの前がかりさはなく、撮影しながら物足りなさを感じていた。
すると前半15分、最も警戒しているはずの相手エース、キリアン・エムバペにゴールを奪われてしまう。
3トップのセンターに入るフランス代表でもあるウスマン・デンベレが中盤に落ち、ミッドフィルダーのようにプレーすると、ソシエダはそれに対応することができず、デンベレを易々とプレーさせてしまった。
中盤でフリーになったデンベレがソシエダ3選手の間を抜くパスをエムバペに通す。パスはかなり強いように感じたが――エムバペが残すと、対応するイゴール・スベルディアの体勢をシュートフェイントで崩す。そして、針の穴を通すように繊細でいて、キーパーが反応しきれないほど強烈なシュートを逆サイドのネットに突き刺した。
“単純で凄まじいゴラッソ”だからこその落胆
速く走り、キックフェイントで相手を崩し、強烈なシュートを放つ。
そんな単純なプレーだからこそ、尚更エムバペの個の強さを痛烈に匂わせたゴールで――ソシエダ選手、サポーターは落胆の色を隠すことができなかった。
そのエムバペは、56分にも途中出場したイ・ガンインからのパスを受けてゴールを決め、この試合の行方をも決定づけた。
久保のCKからソシエダは一矢を報いた
ソシエダは主導権を握られ、好機をなかなか作れなかった。それでも久保はサイドでパスを要求し続け、攻撃を牽引しようとする姿が印象的だった。2失点目直後に怪我から復帰のアンデル・バレネチェア、ベニャト・トゥリエンテスが出場すると、徐々にソシエダが押す時間が増える。
なかば勝ち抜けは諦めざるを得なかったが、なんとかサポーターのためにも一矢を報いたい――そんな思いがあったはず。そんな選手たちのプレーに一度は大人しくなったサポーターたちも最後まで鼓舞し続けた。