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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「高校では一度もベンチ入り経験なし」でも大学時代は“MAX120km台”で空振り量産…ソフバンキャンプで見つけた《育成10位》隠れた「逸材」のナゾ
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by日本文理大公式HPより
posted2024/02/27 06:00
昨年、育成10位で日本文理大からソフトバンクに入団した前田純。宮崎キャンプに帯同するなど、飛躍を期す
スピードガンだけでは計測できないボールの回転数や角度を測ってみて、前田投手の「120キロ台」の本当の威力がわかった中村監督。
しかしそのことをスカウトたちに伝えても、やはり「120キロ台」という事実に説得力がなく、食指を動かす球団はなかなかなかったが、前田投手のキャッチボールに惚れたソフトバンクのスカウトの「ウチの若い投手たちのお手本にしたいようなキャッチボールですね」というお見立てが、育成ドラフト10位指名につながった。
1年目の昨季は、三軍、四軍で11勝をあげ、二軍ではマジック1と優勝が懸かる9月のウエスタン・リーグ広島戦でプロ初先発の大役を任された。
「今で130キロ後半ぐらいかと思いますけど、ファームでも150キロ近い投手が当たり前みたいな中で、あんまり点も取られず、試合を壊さない。なんでってキャッチャーが不思議がってるそうです」
やはり中村監督もスピード不足を心配して、ドラフト前には、プロに挑戦するリスクを、ずいぶん言って聞かせたそうだ。
「でも、とにかくプロ一本、なんの迷いもありませんでしたね。今って、心のスタミナのないピッチャー、多いじゃないですか。前田の場合は、投げるための心のスタミナは無限大。そこは、太鼓判押します。プロで成功してるのって、こういうタイプかもしれないですね、意外と」
「日本一コントロールの良いサウスポーを目指せ」
中村監督が早稲田大野球部の先輩ということで、このオフは、和田毅投手の自主トレに参加させてもらった前田純投手。
「同じ沖縄出身の東浜(巨・投手)にもいろいろ面倒見てもらって、今年は中部商業の先輩の山川(穂高・内野手)も入ってきて、何かと人の縁に恵まれてる。ほんとに、人間性のきれいな子です。前田を悪く言うヤツはいないと思います」
入団に際して、前田純投手が球団からいただいた言葉は、「日本一コントロールのいいサウスポーを目指せ!」である。
<次回につづく>